死闘のツルッペリン街道
コロンの杖の先端から、炎の蛇が伸びた。
火炎殺法のギラーリの炎の蛇と衝突して爆発した。
火炎殺法のギラーリは言った。
「私が、このオリジナルの呪文、火炎殺法シリーズを編み出すのに、どれだけの時間を掛けて研究したと思っているのだ。それを一瞬で盗むのか」
コロンは言った。
「……炎の魔法なら負けないの」
火炎殺法のギラーリは言った。
「ええい、九十式炎の犬!」
炎の犬が、火炎殺法のギラーリの横に現れた。
コロンは言った。
「……炎の魔法、炎のコマ、大車輪、炎の蛇、炎の犬」
コロンの横に、今まで、火炎殺法のギラーリが使った、火炎殺法が全て現れた。
火炎殺法のギラーリは言った。
「まさか!火炎殺法を複数も出せるのか!」
そして一斉に、火炎殺法のギラーリ目がけて殺到した。
火炎殺法のギラーリは言った。
「私が作った呪文で私が滅ぼされるのか!」
コロンの作った炎の魔法は爆発した。
そして火炎殺法のギラーリは吹き飛ばされた。そしてKOされた。
コロンは言った。
「……あなたは、今まで、この火炎殺法で何人も傷つけてきたのでしょ。……どれも死ぬかもしれない危険な炎の魔法。……炎の魔法を悪い事に使うのは許さないから。……だって私は、四大元素魔法「炎の門」の魔法使い見習いなの」
ブリリディ・ブリリアントは、紫色の馬車の中から、バゲット達五人が、向かってくるのを見ていた。
ブリリディ・ブリリアントは敗北を認めざるを得なかった。
ブリリディ・ブリリアントは言った。
「オマエの勝ちだ。ブレッダー・バゲット」
バゲットは言った。
「そうだブリリディ・ブリリアント。バゲット商会の勝ちだ。ブリリアント商会主導の吸収合併は拒絶する」
ブリリディ・ブリリアントは言った。
「私も、この死闘のツルッペリン街道で学んだ事がある」
バゲットは言った。
「何を学んだのだ」
ブリリディ・ブリリアントは言った。
「私達、商人は、正しいのかという事だ」
バゲットは言った。
「ブリリディ・ブリリアント。私達バゲット商会は、お前のように汚い手段を用いての商売をしない。故に正しいのだ」
ラバナは言った。
「そうよ正しいのよ」
ブリリディ・ブリリアントは首を振って言った。
「違うんだバゲット。私達商人が、作り出す。富める者と貧しき者達についてだ」
バゲットは言った。
「ブリリディ・ブリリアントよ」
ブリリディ・ブリリアントは言った。
「なんだ」
バゲットは耳を塞いで踊りながら言った。
「そう言うことは「知らない、知らない、
判らない」と言うのだ」
ラバナも耳を塞いで踊りながら言った。
「そうよ「知らない、知らない、判らない」なのよ」
ブリリディ・ブリリアントは踊るバゲットとラバナを見ながら溜息をついて言った。
「いつか、判るときが来るさ」
スカイは、ブリリディ・ブリリアントの馬車の扉を開けた。
そして腰のナイフを抜いた。
スカイはナイフをブリリディ・ブリリアントに突きつけて言った。
「ブリリディ・ブリリアント。暗殺者ギルドに携帯電話で連絡しろ。「可憐暗殺隊」の暗殺リストから、オレとマグギャランとコロンを外せ」
ブリリディ・ブリリアントは言った。
「仕方が無い」
ブリリディ・ブリリアントは新しい携帯電話に話していた。
「暗殺者ギルドか。暗殺者ギルドに依頼した、ヒマージ王国のブリリディ・ブリリアントだ。「可憐暗殺隊」は期待はずれだった。三人の冒険屋の命を狙う仕事を中止してくれ。一度受け取ったカネは返さない?ああ、それでいい。私も、暗殺者ギルド相手に事を構えるつもりはない」
キラー・リボンのタリマの携帯電話に「呼び出しのゲアン」から電話が掛かってきた。
「タリマ。「可憐暗殺隊」の仕事は打ち切りだ。依頼主が三人の冒険屋達を殺す事を諦めたらしい」
キラー・リボンのタリマは携帯電話に言った。
「判った。ゲアンさん、これから、「アッセブルの街」へ戻るから」
キラー・リボンのタリマは通話を終えると笑顔で言った。
「仕事はキャンセルになった」
エプトナとミルカラとルマナは歓声を上げた。
ミルカラは涙を流して涙を拭っていた。
殺人雨傘のエプトナは言った。
「良かった、後はルマナが、「カウンター・アサシネーション」を依頼をすれば、私達は自由になれるのよ」
毒針空気銃のルマナは言った。
「うん、ボルコさんに、「懐かしのウタタ」で入金してもらう。タリマ、携帯電話を貸して、暗殺者ギルドに「カウンター・アサシネーション」を依頼するから」
スカイとマグギャラン、コロン。バゲットとラバナは、ラメゲとルシルス、可憐暗殺隊と合流した。「百メートル鉄橋」の吊り橋が鐘の音と共に下がり始めた。
殺人雨傘のエプトナは言った。
「スカイ・ザ・ワイドハート。あんた、いい男じゃ無い」
スカイは言った。
「何だよ、まだ、俺を雨傘で刺し殺そうとしているのかよ」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「バカね、お仕置きをするのよ」
スカイは言った。
「なんの、お仕置きだよ」
殺人雨傘のエプトナは、スカイの袖無しTシャツの胸ぐらを掴んで引き寄せた。
殺人雨傘のエプトナはスカイの頬にキスをした。
マグギャランは頷いて言った。
「うむ、暗殺者の女は、危険な女だけ在って情熱的だな」
コロンは顔を赤くして言った。
「……スカイは危ない女にばかりモテるんだな」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「ありがとうスカイ。あなた達の、お陰で、私達、可憐暗殺隊は暗殺者から自由になれた」
長い「百メートル鉄橋」の吊り橋が、ゆっくりと降り始めた。
モンドマーネー劇団は、ヒマージ王国の街道警邏隊に変装していた。
カナリス・モンドマーネーは言った。
「さあ、演目「厳めしき国家権力」を上演するよ」
女優メロア・ソペラは言った。
「判りました」
男優アギド・モールズは涙を流して言った。
「はい」
女優ラーナ・マピルは涙を流して言った。
「もう、何でもやります」
街道警邏隊に変装したモンドマーネー劇団の四人は、バゲットとラバナと、護衛の冒険屋達三人に近づいていった。
カナリス・モンドマーネーは言った。
「君達は、なに暴力行為を行っていたのかな。五人の緑タイツの男性と、赤いショート・スパッツの男性、黒スパッツの男性、スーツを着た男性、レオタードの女性から被害届が出ている」
女優メロア・ソペラは間髪入れずに続けて言った。
「我々は、ヒマージ王国街道警邏隊の隊員である。君達を暴力行為の現場を押さえた事で、現行犯として連行する」
スカイ・ザ・ワイドハートは言った。
「俺達は、あの五人が戦いを挑んできたから戦ったんだよ」
カナリス・モンドマーネーは言った。
「何を言っているか。君達は腰に剣を持たない、素手の一般人相手にプロレス技で暴行を加えていたね。我々は、ちゃんと見ていたのだ」
スカイ・ザ・ワイドハートは言った。
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道