死闘のツルッペリン街道
「兄者!今度会ったときはドナの回復を伝えられるぞ!」
青ゾリ兄弟達は、涙を流しながら馬に乗った。
右青ゾリのゴドルは言った。
「ツルッペリン街道を東に、ひた走るぞギーン!」
左青ゾリのギーンは言った。
「判ったぞ兄者!目指すはドナが待っているヒマージ王国の首都タイダーだ!」
青ゾリ兄弟達の乗った馬は走り去っていった。
キラー・リボンのタリマは言った。
「行っちゃった」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「本当に単純な人達ね」
七徳剣のミルカラは言った。
「でも悪い人達じゃ無かったね」
スカイ達七人と可憐暗殺隊は「渓谷のラビド」から更に馬を走らせた。
スカイ達は、「懐かしのウタタ」に繋がる最後の要衝「百メートル鉄橋」まで来た。
空中に浮かぶミドルン王国の首都「浮遊都市ウダル」が見えた。「百メートル鉄橋」は吊り橋になって居た。
今は、吊り橋は上がっていて、「懐かしのウタタ」まで通行できないようになって居た。
吊り橋が、降ろされるまで待っている事になる。
スカイ達は「百メートル鉄橋」で待つ事になった。この辺りのツルッペリン街道は、暴走山賊団「闇の腕」の敗北で人馬の行き来が
活発になって居た。
そして、鉄橋には見覚えの在る、紫色の馬車と五人の、ならず者格闘家達がいた。
緑色のタイツの「ドンケツのヒゲン」。赤いショート・スパッツの「ゴイスのカンオ」。エターナルのケープの下に黒いスパッツの「火炎殺法のギラーリ」。チンピラ・スーツに竹刀の「赤唐辛子のガラシ」。レオタードに凶悪武器を持った「武器屋のバンダ」の五人だった。
キラー・リボンのタリマは言った。
「何者なの、あの五人は」
殺人雨傘のエプトナは言った。
スカイは言った。
「あの五人はブリリディ・ブリリアントに雇われた格闘家達だ。そして、あの豪華な紫色の馬車に乗っているのが、お前達、可憐暗殺隊を雇ったブリリディ・ブリリアントだ」
マグギャランは言った。
「キラー・リボンのタリマよ、暗殺者を廃業したら、オレと愛を語らないか」
キラー・リボンのタリマは言った。
「愛ですか」
マグギャランは言った。
「そうだ愛だ」
ルシルスはジト目で口元を隠して言った。
「マグギャランさんも手当たり次第ですね」
マグギャランは言った。
「こら、ルシルス、余計な事を言うな。上手く行く話しも、上手く行かなくなってしまう」
ならず者格闘家達も、スカイ達に気がついた。
そして横に並んで、スカイ達の方へ歩いてきた。「百メートル鉄橋」で、吊り橋が上がるのを待っている通行人達は皆、五人の、ならず者の格闘家達を避けた。
ドンケツのヒゲンは言った。
「へへっ、来たじゃねぇか。五人のウサギちゃん達がよ」
スカイは言った。
「うるせぇぞ。今度は、お前達に負けねぇよ」
スカイ、マグギャラン、コロン、バゲットとラバナは五人の、ならず者格闘家達と対峙した。
スカイとマグギャランは、「ドンケツのヒゲン」と、「ゴイスのカンオ」と対峙した。
ドンケツのヒゲンは言った。
「へへっ、タッグ・マッチと行くかカンオ」
ゴイスのカンオは言った。
「アイ、アイサー、俺達はタッグ・マッチを組めば強いよ」
スカイはマグギャランに言った。
「勝ちに行くぞ」
マグギャランは言った。
「当然だぞスカイ」
ドンケツのヒゲンは言った。
「オレのドンケツの威力を見せてやる」
ドンケツのヒゲンは「百メートル鉄橋」の欄干にドンケツを食らわせた。
ガン!と鈍い音がした。
鋼鉄の欄干が大きく、ひしゃげた。
ドンケツのヒゲンは言った。
「コレが、俺のドンケツの破壊力だ。食らえば即死の威力よ」
スカイは、その驚異的な威力に冷や汗が出た。
スカイは言った。
「なんて破壊力だ。「ウドルの街」で食らわなくて正解だったぜ」
マグギャランは言った。
「あのドンケツだけは当たるわけには、いかん」
ドンケツのヒゲンは言った。
「カンオ、お前の投げ技、投げ殺してやれ」
ゴイスのカンオは言った。
「アイ・アイサー。オレの投げ技は即死級のダメージだよ」
マグギャランは言った。
「オレが、「ドンケツのヒゲン」と戦う」
ドンケツのヒゲンは言った。
「ほう、騎士の兄ちゃん、オレの「ドンケツ」を食らう覚悟は出来ているのか」
マグギャランは言った。
「男のヒップ・アタックなど食らわぬ。だが、オレはマゾでは無いので、女ヒップ・アタックも勘弁だ」
ドンケツのヒゲンは用心深く、マグギャランとの間の間合いを詰めていった。
マグギャランは立っていた。
ドンケツのヒゲンは言った。
「食らえ!ドンケツじゃい!」
マグギャランは言った。
「見切ったり、「ドンケツのヒゲン」よ!」
マグギャランは素早く、横に跳んだ。
マグギャランの背後から、スカイが飛び上がった。
「貰った!」
スカイは、ドンケツを放ち、背中を見せたヒゲンの首筋に、延髄切りを放った。
モロにヒゲンの延髄にスカイの跳び回し蹴りがクリーン・ヒットした。
「うがっ!」
ドンケツのヒゲンは、倒れた。
ゴイスのカンオは言った。
「アイ、アイサー、オヤビンのKOされているよ。オレ一人で戦うのさ」
マグギャランとスカイは「ゴイスのカンオ」と対峙した。
「マグギャラン、ドンケツ!」
マグギャランは「ゴイスのカンオ」にヒップ・アタックをかけた。
ゴイスのカンオは言った。
「アイ、アイサー、そんな技、オレには効かないよ」
ゴイスのカンオはアッサリとマグギャランを捕まえた。
スカイは、マグギャランの救出に向かった。
スカイは言った。
「投げ技は使わせねぇぞ!」
スカイはスライディングをして、ゴイスのカンオの足に、カニばさみを掛けた。
マグギャランにスープレックスを掛けようとしていた、「ゴイスのカンオ」は、盛大に転んだ。
マグギャランは言った。
「ナイス・フォローだスカイ」
スカイは素早く立ち上がり、「ゴイスのカンオ」の腹にエルボー・ドロップを掛けた。
マグギャランは言った。
「食らえ!「ゴイスのカンオ」!オレはゴイスの香水は嫌いだ!」
マグギャランは馬乗りになって、ナックル・パンチを「ゴイスのカンオ」の顔面に打ち込んだ。
ゴイスのカンオは言った。
「アイ、アイサー、痛いんだヒーン」
スカイが見ていると、ドンケツのヒゲンが立ち上がった。
ドンケツのヒゲンが言った。
「オレが寝ている間に、カンオを、随分と可愛がって、くれたじゃねぇか」
ゴイスのカンオは、マグギャランの馬乗りナックル・パンチ連打で鼻血を垂らして、青タンを作ってKOされていた。
スカイは言った。
「いくぞマグギャラン!」
マグギャランは言った。
「当然だぞスカイ!」
スカイと、マグギャランはダッシュした。
そしてドンケツのヒゲンに、ツープラトンのドロップ・キックを放った。
まともにスカイとマグギャランのドロップ・キックを受けた、ドンケツのヒゲンは、よろけた。
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道