死闘のツルッペリン街道
スカイは、やたらと後ろ向きな、三人の女達の言葉に嫌気を覚えた。
スカイは言った。
「おい、オマエ等、何考えているんだよ!勝手に死ぬ事ばかり考えているんじゃねぇよ!」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「バタンの暗殺者は、暗殺をして殺すか、暗殺に失敗したら殺されるかの二つしかないのよ。どちらも地獄道だけれど」
スカイは言った。
「もう少し頭を使えよ。人殺しをする事ばかり考えているんじゃねぇよ」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「私達は生まれつき、バタンの暗殺者の一族として生まれているのよ。人を殺す事を子供の頃から教わっている」
スカイは言った。
「今から止めればいいだろう」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「無理よ。私達は、暗殺者ギルドの暗殺者達だから」
スカイは言った。
「それじゃ、今からオレが止めさせるよ」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「スカイ・ザ・ワイドハート、あなたに何が出来るというの。一介の冒険屋の戦士でしょ」
スカイは言った。
「オレだって何か出来る事は在ると思うんだ」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「綺麗事を言わないで!私達は生まれつきの暗殺者なの!」
キラー・リボンのタリマは言った。
「そう。私達は暗殺者なの」
マグギャランは言った。
「ふむ、キラー・リボンのタリマよ。オレが真人間に更生させるという話しは、どうかね」
キラー・リボンのタリマは言った。
「安請け合いはしないで」
マグギャランは言った。
「安請け合いでは無い。最後に肝心なのは「愛」だ」
七徳剣のミルカラは顔を赤らめて言った。
「なんてロマンチックな人達なの」
コロンが言った。
「……お願いだから、暗殺者を止めて」
右青ゾリのゴドルは言った。
「待ち伏せは失敗したが。オレと戦え、騎士マグギャラン」
左青ゾリのギーンは言った。
「兄者は騎士マグギャランと戦うか!よし戦士スカイ・ザ・ワイドハート!フラクター選帝国製のエア・バスでの戦いの決着を付けるぞ」
可憐暗殺隊の三人は岩陰から出てき武器を構えた。
毒針空気銃のルマナは毒針空気銃を捨てて、ラメゲの所に走って行った。
スカイは言った。
「先に、青ゾリ兄弟を倒す。コロン、魔法で可憐暗殺隊の三人を押さえられるか」
コロンは言った。
「……うん、やってみる」
コロンは言った。
「……炎の魔法…炎のコマ!×3!」
コロンは炎のコマを三つ出した。
キラー・リボンのタリマは言った。
「火炎球?でも形が違う」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「魔法を幾つも同時に出せるのは高レベルの魔法使いよ」
七徳剣のミルカラは言った。
「でも、あの子、そんなに強そうな魔法使いじゃ無いよ。だって魔法使い見習いなんでしょう」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「でも目の前で三つの魔法を同時に出しているでしょ!」
コロンが出した三つの炎のコマは可憐暗殺隊の三人を追いかけ始めた。
右青ゾリのゴドルはマグギャランと対峙した。
右青ゾリのゴドルは言った。
「オレの使う剣術はマンティコア流分銅鎖剣術だ」
マグギャランは言った。
「オレの剣術はユニコーン流だ」
右青ゾリのゴドルはロング・ソードの柄頭に付いた、分銅鎖を振り回し始めた。
そしてマグギャラン目がけて、分銅鎖の分銅を投げた。
マグギャランは言った。
「なんとするか!」
マグギャランは後ろに跳んで、右青ゾリのゴドルの分銅鎖を避けた。
右青ゾリのゴドルは、分銅鎖剣の分銅を再び回転させた。
右青ゾリのゴドルは言った。
「オレの分銅鎖に捕まったとき、お前は死を迎える事になる」
マグギャランは言った。
「そのような奇怪な武器など、なんとするものぞ!」
マグギャランは剣で飛び込んでいった。
右青ゾリのゴドルが分銅鎖を自分の身体に絡めるように動かした、右青ゾリのゴドルの背後から、分銅鎖が飛び出してきた。
マグギャランは言った。
「うおっ!」
マグギャランは分銅鎖を避けた。
その瞬間、右青ゾリのゴドルは長剣(ロング・ソード)でマグギャランに突きを放った。
マグギャランは体勢を崩しながら、剣で受けた。
マグギャランは体勢を立て直すために、右青ゾリのゴドルから距離を取った。
右青ゾリのゴドルは再び、分銅鎖を回し始めた。
スカイは左青ゾリのギーンと対峙した。
左青ゾリのギーンは両手に小剣(ショート・ソード)を持っている。
左青ゾリのギーンは言った。
「オレの剣術はマンティコア流二丁剣術だ」
スカイは腰の新しい剣を抜いて言った。
「オレは、剣術の流派に付いた事はない。全て自己流だ」
左青ゾリのギーンは言った。
「行くぞ!マンティコア流二丁剣!獅子牙!」
左青ゾリのギーンは二本の小剣を構えたまま突進してきた。
左青ゾリのギーンは、右の小剣から連続突きを放った。
スカイは剣で受けた。
左青ゾリのギーンは、すかさず、左の小剣でスカイの首筋を狙った横殴りの一撃を繰り出した。
スカイは後ろに飛び退いて避けた。
「あぶねぇな。お前、オレを殺そうとしているだろう」
左青ゾリのギーンは言った。
「そうだ!オレ達「青ゾリ兄弟」は妹のドナを救うために戦うのだ!ドナを救うためなら人殺しでも何でもするんだ!」
スカイは言った。
「随分と手前勝手な話しじゃ無いか」
左青ゾリのギーンは言った。
「お前に判るか!マンティコア流二丁剣、蝙蝠の飛翔!」
左青ゾリのギーンは今度は、両方の小剣(ショート・ソード)を逆手に持ってスカイに斬りかかってきた。
スカイは剣で受けたが。左青ゾリのギーンは、小剣(ショート・ソード)を逆手に持ってリーチを短くした分、スカイに接近した。
左青ゾリのギーンは言った。
「掛かったな!マンティコア流剣術獅子の連撃爪!」
左青ゾリのギーンは、接近したまま、スカイに、二本の小剣(ショート・ソード)で連続突きを放ってきた。
スカイは剣を操って、左青ゾリのギーンの連続突きを受けようとしたが、二本の小剣(ショート・ソード)を使った連続突きの方が速かった。
スカイは受け損なって、左腕と右脇腹に浅い傷を受けた。
スカイは、ステップ・バックして、左青ゾリのギーンと距離を取った。
左青ゾリのギーンは小剣(ショート・ソード)を構えて言った。
「なに、獅子の連撃爪を、しのぎきったか」
スカイは言った。
「お前、本気でオレを殺しに掛かっているな」
左青ゾリのギーンは涙を流しながら言った。
「お前だって、兄弟姉妹が居るだろう!オレ達にはドナという病弱な妹が居るんだ!生まれつき虚弱体質で何時死んでもおかしくないんだ!」
スカイは言った。
「だからといって、人殺しはマズイだろう」
ギーンは言った。
「オレ達は、ブリリアントの旦那の所に、バゲットとラバナを連れていって、ドナに飲ませる錬金術の薬を買うカネを手に入れるんだ!」
コロンが金切り声のような声を上げた。
「左青ゾリのギーン!あちゃいに任せて!」
ギーンは言った。
「何を言っているんだ!お前達は敵だ!」
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道