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死闘のツルッペリン街道

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 「ああ、そうだよサナール。この「戦斧使いのモンガ・バラール」が、これから「闇の腕」の首領さ。バーリ・ゾーダの兄貴の弔い合戦は、裏切り者リッヒル・メラーニの死をもって今から始まるんだよ。何年掛けても、いや、十年でも二十年掛けても、やってやるさ」
投げ殺しのサナールは言った。
 「そういや、ガホーのヤツは、どうしたんだ。姿が見えないが」
 バラール姉妹の妹の「ガラン・バラール」は言った。
 「アイツは、裏切り者リッヒルの千人隊長から、「闇の腕」の五本指に昇格した男だ。どうせ、リッヒルと同じヒマージ王国のスパイ組織「ホーンテッド・ゴースト」のメンバーなんだろうさ」
 投げ殺しのサナールは言った。
 「さすがにヒマージは汚ねぇな。ガホーのヤツは、見つけたら問い詰めなければならないな。ヒマージ王国のスパイなら、俺が投げ殺してやる」
 
ラメゲは、馬の背中に乗せて「ヒース平原」
の北の森から出て行った。
 ヒマージ王国の軍隊は、「ヒース平原」の暴走山賊団「闇の腕」を掃討し終えていた。
ラメゲが、暴走山賊団「闇の腕」の首領「断裂刀のリッヒル・メラーニ」の死体を高々と掲げて見せると戦勝に沸くヒマージ王国軍が歓声を上げた。
ラメゲは、指揮を馬上で執っていたマグギャランと合流した。
 ラメゲは言った。
 「完璧に近い勝利だった」
 マグギャランは言った。
 「ふむ、オレとしては、勝利とは美女と共に在るのだ」 
 ラメゲは言った。
 「相変わらずエロイ男だ」
 マグギャランは、傍らのエルレア・メキア女将軍に言った。
 「レディ、この勝利を貴女に捧げます」

この戦いで四万八千人近くの暴走山賊団「闇の腕」の山賊達が、ヒマージ王国軍の約一万の軍勢に殺された。ヒマージ王国側の戦死者は二百四十人。

 スカイとコロン、バゲットとラバナ、サシシ・ラーキーは「バラントの街」の城壁から、「ヒース平原」の戦闘を見ていた。
 ヒマージ王国の軍隊が、少ない手勢で、暴走山賊団「闇の腕」を撃破していくのを見ていた。人間同士の殺し合いを見るのは苦痛だったが。スカイはマグギャランの戦いを見ていた。
スカイは言った。
「コロン、ロザ姉ちゃんに、なんて言えば、いいんだろうな」
 コロンは言った。
「……大丈夫、わたしもスカイも戦争に参加しなかったからロザ姉ちゃんは許してくれるよ」
スカイは言った。
 「俺は無力だよな、こんな時に何も出来ないんだから」
 コロンは言った。
 「……ロザ姉ちゃんだって何も出来ないよ。わたしは多分、ロザ姉ちゃんに許して貰えないよ。山賊五人を火だるまにしちゃったから」
 スカイは言った。
 「あれは、しょうがないだろう」
コロンは言った。
 「……私は、炎の魔法だけなら自信があるの。だから、炎の魔法を間違えて使って、山賊五人を火だるまにした事で、自分を許せないの」
 サシシ・ラーキーは神秘の微笑みを、たたえて言った。
 「コロナさん、それならば「殺しの秘文字教」に入信しましょう」
 コロンは言った。
 「……山賊五人を火だるまにしたのは、わたしのせいだけれど、人殺しを奨励する「殺しの秘文字教」には入らないよ」
 サシシ・ラーキーは言った。
 「そうですか。それでは、私は、ルシルスを起こしましょう」
 そしてフラッと気を失って倒れた。
 そしてゴンと城壁の床石に頭をぶつけた。
 スカイとコロンは、その光景を見ていた。バゲットもラバナも見ていた。
 サシシ・ラーキーから、うめき声が上がった。
 「いたたた……」
 床に倒れたサシシ・ラーキーからルシルスに変わったようだった。
 ルシルス?は言った。
 「痛いですぅ。頭にタンコブが出来て、いますう」
 ルシルスは、ぺたんとタイトスカートの軍服のまま城壁の床石に座っていた。
 ルシルスは言った。
 「いやっ!なんです、この服は、足が見える服なんて恥ずかしくて着られないですぅ」
スカイは言った。
 「コロン、この女の本当の人格は、サシシ・ラーキーとルシルスの、どっちだと思う?」
コロンは言った。
 「……スカイ。判らないよ」

戦勝に沸く「バラントの街」だった。
 スカイ、マグギャラン、コロンと、バゲットとラバナ、ラメゲとルシルスは再び馬に乗った。
マグギャランは言った。
 「うむ、ヒマージ王国軍のエルレア・メキアと濃厚でディープな一夜を過ごしてきた。戦勝とは良い物だな」
スーツに着替えたラメゲは言った。
ラメゲは言った。
 「オマエも身持ちの悪い男だな」
 ルシルスは口元を隠してジト目で言った。
 「さすが、エロイ、マグギャランさん。行きずりの恋いをしたのですね」
 マグギャランは言った。
 「ルシルスよ行きずり恋いでは無いのだ。激しくバーニングしたラブであり、燃え上がる炎の恋なのだ。その瞬間、確かに愛は在った」
 コロンがマグギャランの頭を魔法の杖で殴った。
 マグギャランは言った。
 「こら、コロン何、殴るんだ」
 コロンは言った。
 「……炎をエロイ譬えに使わないで」
バゲットは言った。
「暴走山賊団「闇の腕」は、ほぼ壊滅した。ツルッペリン街道を西に進むぞ」

ブリリディ・ブリリアントと御者、「ウォリア殺投術ウドル道場」の五人は「渓谷のラビド」の安宿に泊まっていた。
 安宿の食堂では、テレビで暴走山賊団「闇の腕」の壊滅の速報が伝えられていた。
ヒゲン・デパーロは言った。
「やっぱりな、危ない予感がしたんだよ」
赤唐辛子のガラシは言った。
 「サナールは無事かよ」
ゴイスのカンオは言った。
 「アイ、アイサー。奇跡を起こしたのは、ヒマージ王国軍の女将軍エルレア・メキアという女だよ。結構美人だよ」
 武器屋のバンダは言った。
 「まあ、サナールは、簡単には死なないヤツだよ。アイツは生まれついての悪ガキだ。カンが良いんだよ。あたしゃ、生きていると思うがね」
 ヒゲン・デパーロは言った。
「そうだな、暴走山賊団「闇の腕」の首領「断裂刀のリッヒル・メラーニ」も死体が出ているじゃねぇか。だらしねえって事だ」
 赤唐辛子のガラシは言った。
 「確かに「断裂刀のリッヒル・メラーニ」以外は幹部が死ななかったようだな」
 ヒゲン・デパーロは言った。
 「ヒデェ戦いだな。暴走山賊団「闇の腕」の戦死者は四万八千人近くか。約二千人残して、ほぼ全滅かよ」
 武器屋のバンダは言った。
 「ヒゲンのカンが冴えていたよ。あのまま、酒盛りをサナール坊主のテントでしていたら、ヒマージ王国の殺人鬼の女将軍に殺されちまうところさ。おっかねぇ話しだよ」
 赤唐辛子のガラシは言った。
 「ヒマージもヒデェ事しやがるな。俺達、裏社会の人間も、ここまでやらねぇさ」
 ヒゲン・デパーロは言った。
 「所詮は政府よ。政府は、こう言うことをするんだよ。オレ達はウドルで犯罪巷で美味い汁すすっていれば良いのさ」
ブリリディ・ブリリアントは「ウォリア殺投術ウドル道場」の五人の話を聞いていた。