小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

死闘のツルッペリン街道

INDEX|36ページ/52ページ|

次のページ前のページ
 

 「兄者、俺達の妹のドナは大丈夫か。虚弱体質は何時死んでも、おかしくないんだ。ドナは寝込んでいるだけの生活だ」
 右青ゾリのゴドルは言った。
 「気を強く持てギーン!ドナは俺達が必ず治すんだ!」
 キラー・リボンのタリマは言った。
 「あなた達も妹が死にそうなのね。私と同じね」
住民が避難したはずの「バラントの街」だったが。「アッセブルの街」のスラム街を歩いていると人の視線が感じられた。
 煉瓦造りの、4階建ての建物から次々と人が出てきた。
 皆、モンスターに似た外見をしていたり。
身体に不自由が在ったりした。
身長が二メートル近くあり角が生えた男性が言った。
 「私達は、ヒマージ王国に見捨てられた人間達なんだよ」
盲目の老女が言った。
 「わたし達には逃げる場所なんか無いんだよ」
キラー・リボンのタリマは悲しさを感じて言った。
「そうね。あなた達は、「絶望と頸木の王の子供達」なのね」
カバに似た頭の男性が言った。
 「そうだよ。私達は、人間なのに人間扱いされない人間達さ。ヒマージ王国は隔離政策を取っているんだよ「有害劣等人種隔離監視法」という法律を作っているんだ」
 両足の不自由な松葉杖の女性が、ぎこちなく歩きながら言った。
 「ヒマージ王国は、自分達に都合の悪い者は隠すんだよ。そうして綺麗な上辺だけを飾り立てるのさ」
頭が犬の男性が言った。
 「もうじき、暴走山賊団「闇の腕」が、この「バラントの街」に来る。そうしたら、オレ達「絶望と頸木の王の子供達」は仲間に加わる予定なんだ。「闇の腕」の幹部「戦斧使いのモンガ・バラール」も三メートルを越す身長の「絶望と頸木の王の子供達」と言うじゃないか。暴走山賊団「闇の腕」の方がヒマージ王国よりもいいんだよ」
殺人雨傘のエプトナは言った。
 「馬が、どこに在るか知っている?」
 カバに似た頭の男性が言った。
 「馬屋横町だ。街道警邏隊の馬や、馬車の馬を飼う為の馬草の問屋街がある」
 七徳剣のミルカラは言った。
 「私の馬はヒマージ王国の軍隊に殺されたし、そこで馬を調達するのが良いかもね」
 殺人雨傘のエプトナは言った。
 「「呼び出しのゲアン」が、どこからともなく手に入れた馬よ。多分、馬泥棒をしたのね」
 左青ゾリのギーンは言った。
 「兄者!オレ達の馬は買った馬だ!」
 右青ゾリのゴドルは言った。
 「そうだ、オレ達は、悪漢として働くために馬を買ったのだ」
 殺人雨傘のエプトナは言った。
 「随分と、お金に余裕が在るのね」
 右青ゾリのゴドルは言った。
 「いや、オレ達が買った馬は、馬泥棒から買った馬だ。市価の五分の一で足の速い馬が買えた」
 左青ゾリのギーンは言った。
 「そうだ兄者!オレ達は馬泥棒から馬を買ったんだ!」
 キラー・リボンのタリマは言った。
 「お互い無法者同士ね」
 右青ゾリのゴドルは言った。
 「ああ、だが、オレ達「青ゾリ兄弟」は妹を救うという正義がある」
 左青ゾリのギーンは言った。
 「そうだ兄者!オレ達はドナを救うという目標が在るんだ!」
 殺人雨傘のエプトナは言った。
 「タリマや、あなた達「青ゾリ兄弟」には、理由が在るのね。私には無いけれど」
 左青ゾリのギーンは言った。
 「兄者、オレ達は人間に生まれて、身体が元気で良かったな」
 右青ゾリのゴドルは言った。
 「ああ、そうだギーン。だが、ヒマージ王国は冷酷だ。ああいう人達を迫害しているんだ」
キラー・リボンのタリマは言った。
 「私達、バタンの暗殺者は生まれつき、日の当たる道を歩けないけれど」
 青ゾリ兄弟と可憐暗殺隊は、馬屋横町に行った。
 馬の殆どは、いなくなっていたが。まだ、繋がれている馬が居た。
 キラー・リボンのタリマは言った。
 「駿馬とは行かなくても、足の速い馬が居れば良いのだけれど」
 殺人雨傘のエプトナは言った。
 「街道警邏隊の馬には焼き印が押されているはずだから避けた方がいい」
 毒針空気銃のルマナが言った。
 「ねえ、こっちに、馬が居るよ」
 
スワートル村のダレン村長と道案内をした「二刀剣のヒギア・ゼギンズ」は、スカイ達七人の所に来た。
 ダレン村長は言った。
 「ヒマージ王国軍の指揮官が会いたがっている。自由騎士(フリー・ランサー)マグギャラン。タビヲン王国の剣士ラメゲ・ボルコ」
マグギャランは言った。
 「ふむ、バゲットよ。俺達が、ヒマージ王国軍の指揮官と会う時間はあるのか」
 バゲットは言った。
 「時間が惜しいが、ツルッペリン街道を、西に向かうためには、暴走山賊団「闇の腕」の支配地域と重なってしまう」
ラバナは言った。
 「そうよ、重なってしまうのよ」
 バゲットは言った。
 「私も、ヒマージ王国軍の指揮官に会いたい。ツルッペリン街道が、どうなっているか知りたいんだ」
 ラバナは言った。
 「そうよ、会いたいのよ」
 スワートル村のダレン村長は頷いて言った。
 「それでは案内する」

 金髪のヒマージ王国軍の軍服を着た。二十代中頃の女が居た。有り体に言って、美人だった。ルシルスほどの美人では無いが長い金髪を背中で纏めてヒマージ王国の、ダーク・グレーに青いラインの入った軍服を着ていた。
タイトスカートから見えるストッキングは青色だった。腰に剣を下げていた。
 その顔には疲労と絶望と、失意の影があった。つまり、かなり凹んでいた。
 「私が。ヒマージ王国軍の指揮官、エルレア・メキア女将軍です。スワートル村の騎兵達を欠員無しで「バラントの街」まで移動させた自由騎士(マグギャラン)は、どなたでしょうか」
 エルレア・メキアはスカイ達を見回して言った。
 マグギャランは言った。
 「私が、自由騎士(フリーランサー)マグギャランである。なぜ、妙齢の女性が指揮官なのだ」
 エルレア・メキアは言った。
 「そうですか。騎士マグギャラン。私は、指揮官のロチナ卿が、戦死したため昇格しました」
 マグギャランは言った。
 「そうであるのか。私は、自由騎士(フリーランサー)マグギャランである。だが、なぜ副官が女性なので在るか」
 エルレア・メキア女将軍は言った。
 「私は、メキア女子爵です。男の跡取りが居なかったため。メキア子爵家を継ぎました。私もコモン共通騎士証プラチナ・プレートを持っています。ですが。私は名ばかりのプラチナ・プレートの持ち主です。ヒマージ王国は長い間戦禍に見舞われず。平和な時代を過ごしました。私は女騎士ですが、戦争に出た経験はありません。今回の暴走山賊団「闇の腕」討伐が初陣です」
 確かに、エルレア・メキアは、美人だが、筋肉は、付いていないようだし、あまり戦争に向いているようには見えなかった。
 マグギャランは言った。
 「ふむ、そうで在るのか。ヒマージの軍隊は、だらしないな。俺の祖国の軍隊は、もう少し骨があるぞ」
エルレア・メキア女将軍は言った。
「あなたは、コモン共通の騎士証プラチナ・プレートを持っている自由騎士(フリー・ランサー)ですね。どうか私達ヒマージ王国軍を助けてください」
 マグギャランは言った。