死闘のツルッペリン街道
「それでは、今日の「バラントの街」への攻城戦は決行する事になるんだな」
副首領の「戦斧使いのモンガ・バラール」は言った。
「そうなるね。あたし達が、「バラントの街」を攻め落として略奪すれば、大金が入り込むって寸法だ。「バラントの街」のヤツ等は、着の身、着のままで逃げ出したそうじゃ無いか。略奪しがいのある街さ」
バラール姉妹の妹の「鉄手のガラン・バラール」は言った。
「そうさ、あたし等が、まともに働いて手に入らない大金が転がり込むんだよ」
副首領の「戦斧使いのモンガ・バラール」は言った。
「さあ、ヒマージ王国軍の残った一万人の兵士達を皆殺しにして、「バラントの街」を奪い取るよ。そして、あたし達「闇の腕」が、独立国家を宣言するんだ。異論は無いだろう。リッヒル」
首領の「断裂刀のリッヒル・メラーニ」は言った。
「仕方が無いな。「バラントの街」を攻め落として略奪をするしかないな」
投げ殺しのサナールは言った。
「オレは、「バラントの街」攻め落とす事に賛成だ。姉貴達が言うとおり、略奪して、支配すれば良いんだよ。ヒマージ王国軍は、たった一万人だ。俺達は五倍の五万人だ、必ず勝てる戦いだぜ」
一番槍のガホー・ガンダルは言った。
「オレは、リッヒル・メラーニの兄貴のように慎重策を取った方が良いと思うよ。バラントの街は城壁も高いんだ。今までの戦い方が通用するとは思えないな」
投げ殺しのサナールは言った。
「ガホー、何、臆病風に吹かれているんだよ。確かに「バラントの街」の城壁は高いさ。だが、同時にデカイ。「バラントの街」の周りを囲むだけ在って、一万のヒマージ王国軍で守りきる事は難しいはずだよ。必ず守りが手薄な場所が城壁に出来る筈だ。そこから攻城戦を仕掛ければ良いんだよ。俺達は五万人居るんだ」
一番槍のガホー・ガンダルは言った。
「オレはリッヒルの兄貴と同じように講和することを考えている」
副首領の「戦斧使いのモンガ・バラール」は言った。
「だらしないねえ。ガホー、それでも男かい。目の前にカネの塊のような「バラントの街」があるんだよ。番犬は弱いし、あたし達は略奪し放題さ」
バラール姉妹の妹の「鉄手のガラン・バラール」は言った。
「そうさ、バーリ・ゾーダの兄貴の頃からの決め方だ。「闇の腕」の幹部会「五本指」の多数決で、決まりだよ。サナールは、あたし達と同じだろう」
投げ殺しのサナールは言った。
「ああ、そうさ。オレは、バーリ・ゾーダの兄貴の弔い合戦「血の報復」を続けて、ヒマージ王国の首都タイダーまで攻め上る事に賛成する」
副首領の「戦斧使いのモンガ・バラール」は言った。
「決まりだよ。リッヒル。あたし達「闇の腕」は今日中に「バラントの街」に城攻めを仕掛けて、攻め落とす」
首領の「断裂刀のリッヒル・メラーニ」は言った。
「判った。それでは、城攻めの開始だ」
青ゾリ兄弟のゴドルとギーンは、牢屋に入れられていた。
ゴドルは言った。
「ええい、ギーン!俺達は、牢屋に居るぞ!」
ギーンは言った。
「そうだ兄者!俺達は牢屋に居るぞ!」
ゴドルは言った。
「ええい!早く、錬金術の薬を買わなければ、ドナが死んでしまうかもしれぬ!」
ギーンは言った。
「兄者!オレはドナが死ぬなんて耐えられないぞ!」
ゴドルは言った。
「ギーン!気を強く持て!困難と苦難に打ち勝つのだ!そしてドナを救うのだ!」
可憐暗殺隊は、牢屋に入れられていた。
キラー・リボンのタリマは言った。
「まさか、捕まるとは思わなかった」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「暗殺者は捕まれば死刑よ」
七徳剣のミルカラは言った。
「せめて裁判ぐらいは受けさせて欲しいけれど、私達じゃ、弁護士を雇う、お金が無いからね」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「まあ、いいか。ルマナ頼むよ」
毒針空気銃のルマナは言った。
「判った」
ルマナは、服の飾り紐から針金を取り出した。そして、鉄格子の牢屋の鍵を開けた。
可憐暗殺隊は、牢屋から抜け出した。
キラー・リボンのタリマは言った。
「どうやら、見張りも居ないようね」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「多分。戦争の用意をしているのよ。私達を監視する人員も割けないぐらいに、ヒマージ王国軍は劣勢という事よ」
七徳剣のミルカラは言った。
「いつ山賊がくるか判らないところに、女の子四人を牢屋に入れて放っておくなんて、ヒマージ王国も随分と、酷いのね」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「私達暗殺者は、人間扱いされないのよ。
城門で殺されなかっただけマシよ」
毒針空気銃のルマナは言った。
「でも、私達だって人間だよ。心を持っているもん」
キラー・リボンのタリマは言った。
「そうよ、ルマナ。私達暗殺者も人間よ。でも、世間の人達は人間として扱ってくれないのよ」
毒針空気銃のルマナは言った。
「あの青ゾリの二人が騒いでいるよ」
七徳剣のミルカラは言った。
「騒いでいると言うより、泣きわめいているように思うけれど」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「タリマ。青ゾリの二人は、どうするの」
キラー・リボンのタリマは言った。
「話しを聞いてから助けるか決めた方が良いと思うけれど」
毒針空気銃のルマナは言った。
「なんか、物凄く、単純で暑苦しい人達みたいだけれど」
七徳剣のミルカラは言った。
「でも、悪い人達では無いかもしれない」
可憐暗殺隊は、青ゾリの二人が放り込まれた、牢屋の前に来た。
キラー・リボンのタリマは言った。
「私達は、判っていると思うけれど、暗殺者ギルドの暗殺者よ。私は「キラー・リボンのタリマ」」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「私は「殺人雨傘のエプトナ」」
七徳剣のミルカラは言った。
「私は「七徳剣のミルカラ」」
毒針空気銃のルマナは言った。
「私は「毒針空気銃のルマナ」」
左青ゾリの若い方はタリマ達に名乗った。
「俺達は「青ゾリ兄弟」。俺は、弟の「左青ゾリのギーン」。こっちは兄者の「右青ゾリのゴドル」
右青ゾリのゴドルは言った。
「俺達は、ブリリディ・ブリリアントに雇われている」
キラー・リボンのタリマは始めて聞く名前を聞いて、怪訝に思った。エプトナもミルカラもルマナも怪訝そうな顔をして顔を見合わせていた。
「ブリリディ・ブリリアントとは誰なの?」
右青ゾリのゴドルと、左青ゾリのギーンも顔を見合わせた。
右青ゾリのゴドルは言った。
「俺達を雇った、ブリリディ・ブリリアントは、ヒマージ王国の首都タイダーの商人だ。中堅クラスのグループ企業、ブリリアント商会を経営している実業家だ」
キラー・リボンのタリマは言った。
「私達は暗殺者ギルドのバタンの暗殺者よ」
右青ゾリのゴドルは言った。
「バゲットとラバナを殺す事が目的か?」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「その二人は誰なの」
左青ゾリのギーンは言った。
「ブリリディ・ブリリアントに雇われた、暗殺者なら、バゲットとラバナを殺す事が目的の筈だ」
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道