死闘のツルッペリン街道
その向こう側には、「バラントの街」らしい城壁が見え。街の中心部には、城が在った。
マグギャランはスワートル村の村長ダレンに言った。
「ダレン、バラントの街に携帯電話で連絡を入れてくれ。城門を一つ開けるように言ってくれ。それも、「ヒース平原」と向かい合っていない、反対の南門だ。一気に俺達は、暴走山賊団「闇の腕」の宿営地を駆け抜ける」
村長ダレンは言った。
「だが、他の門を開けた方が良いはずだ。「ヒース平原」と向かい合う、北門は危険にしても、西門か東門の方が安全なはずだ」
マグギャランは言った。
「よく見るのだ。村長ダレンよ。暴走山賊団「闇の腕」は、「ヒース平原」に宿営している。だが、西門や東門を開けば、「バラントの街」が危うくなる。我々は全員馬に乗って居る。移動速度は、馬に乗らない暴走山賊団「闇の腕」よりも速い。そして南門には暴走山賊団「闇の腕」は布陣を敷いていない。つまり馬で移動すれば、必ず暴走山賊団「闇の腕」よりも速く南門に到達できる」
村長ダレンは言った。
「南門まで、どうやって行くのだ」
マグギャランは言った。
「「ヒース平原」を馬で強行突破だ。昼食を暴走山賊団「闇の腕」は摂っている。今が移動するチャンスだ。東門へ向けて我々は馬を走らせる。そして南門へと回り込む」
村長ダレンは言った。
「判った。携帯電話でヒマージ王国の軍隊に連絡を入れる」
ダレン村長は、年配の男女に伝えた。そして携帯電話でヒマージ王国の軍隊と連絡を、とった。そしてヒマージ王国の軍隊は南門を開ける事を約束した。
準備は整った。
マグギャランはダレン村長に言った。
「槍を持っている村民達を周りに出してくれ。リーチの長い槍で牽制しながら進んでいく」
ダレン村長は命令を出した。
スカイ達八人とスワートル村の三百二十八人の村民達の乗った騎馬の手勢は移動を開始した。
スカイはマグギャランの後ろに乗ったまま、周りで、暴走山賊団「闇の腕」の連中達が、
昼飯を食べているところに突撃を行い、押っ取り刀で、応戦しようとするのを脇目に馬で走り抜けた。
ゴドルとギーンは、ツルッペリン街道を西へと馬を走らせ続けた。
ギーンは言った。
「兄者!「バラントの街」まで来たぞ!」
ゴドルは言った。
「ええい!ギーン!どうやら暴走山賊団「闇の腕」の本隊だ!」
ゴドルは平原に宿営する膨大な数の山賊達を見て言った。
だが、その山賊達の間を騎馬の一群が走り抜けようとしていた。
ゴドルは、三百人以上の突進する騎馬の中に、バゲットとラバナが乗った馬を見つけた。それと三人の冒険屋達が馬に乗って居た。
「しめた!出くわしたぞギーン!バゲットとラバナだ!」
ギーンは言った。
「兄者!だが、暴走山賊団「闇の腕」の真っ直中だ!」
ゴドルは言った。
「ええい!ギーン、俺達も、「バラントの街」に突入するぞ!バゲットとラバナを捕まえるんだ!」
ギーンは言った。
「判ったぞ兄者!」
ゴドルとギーンは、騎馬の一群の突撃で、動揺している、暴走山賊団「闇の腕」の宿営地へと馬で突入していった。
可憐暗殺隊は、前方を馬で走る。二人の青ゾリの男達の後ろを馬で走らせていた。
殺人雨傘のエプトナは言った。
「あの二人前方しか見ていないのね」
キラー・リボンのタリマは言った。
「物凄く単純な人達なんじゃ無いの」
七徳剣のミルカラは言った。
「なんで、たった二人でツルッペリン街道を西へ走っているの」
毒針空気銃のルマナは言った。
「きっと頭が単純だから、何も考えていないんだよ」
キラー・リボンのタリマは言った。
「さあ、暴走山賊団「闇の腕」の本拠地よ」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「あの二人の後を着いていく?」
七徳剣のミルカラは言った。
「他に方法が無いと思うけれど」
毒針空気銃のルマナは言った。
「見てよ、騎馬の軍勢が、走り抜けているよ」
キラー・リボンのタリマは言った。
「私達も走り抜けるから」
殺人雨傘のエプトナは言った。
「判った。異論は無しね」
七徳剣のミルカラは言った。
「見て。騎馬の軍勢の中に、三人の冒険屋が居る!」
毒針空気銃のルマナは言った。
「ボルコさんも居るよ!追いかけよう!」
可憐暗殺隊は、馬に乗ったまま、暴走山賊団「闇の腕」の本拠地を走った。
スカイの後ろから聞き覚えのある声がした。
「バゲット、ラバナ待て!」
スカイは後ろを見た。
「アイツラ、青ゾリ兄弟だ!こんな所まで追いかけて来やがった」
マグギャランは馬を操りながら言った。
「構うな。今は南門に到達する事が先だ」 スカイは左の斜め後ろを見た。
「アイツラの馬は足が速いぞ」
マグギャランは言った。
「多分競走馬型の馬だ。俺達の馬は軍馬だ」
コロンは、ルシルスの操る馬の後ろで、ルシルスに、しがみついていた。
バゲットは馬を操りながら言った。
「こんな所まで、青ゾリ兄弟達は追いかけてくるのか!」
ラバナは言った。
「そうよ、しつこすぎるのよ!」
スカイ達の乗った馬と、スワートル村の三百二十八人に騎馬の一団は、「バラントの街」
の城壁を迂回して、南門に到達した。
南門は約束通り開いていた。
一気に、スカイ達は勢いを緩めず、「バラントの街」へと突入した。「バラントの街」の城門を中に入ると、武装したヒマージ王国の軍隊が居た。
スカイ達八人と、スワートル村の三百二十八人は「バラントの街」に到着した。
そして青ゾリ兄弟達も「バラントの街」に入り込んだ。
バゲットは言った。
「その青ゾリの二人組は犯罪者だ!捕まえてくれ!」
ラバナは言った。
「そうよ、捕まえるのよ!」
青ゾリ兄弟達は、ヒマージ王国の軍隊に囲まれて武器を突きつけられた。
城門が閉じられ掛かった途中で、四人の女達が馬に乗って入ってきた。
スカイは気がついた「アッセブルの街」の暗殺者達だ。
スカイは言った。
「その四人の女達は暗殺者だ!捕まえてくれ!」
戦士スカイ・ザ・ワイドハートは言った。
殺人雨傘のエプトナは言った。
「タリマ!相打ち覚悟で殺す!」
タリマは言った。
「判った!」
殺人雨傘のエプトナは馬の鞍の上に立ち上がった。そしてジャンプした。
殺人雨傘のエプトナは言った。
「殺る!」
殺人雨傘のエプトナは、鎧兜を被った、ヒマージ王国の兵士達の肩を伝って、キラー・アンブレラを持ったままスカイ達目がけて駆けた。
戦士スカイ・ザ・ワイドハートは腰の剣を抜いた。
殺人雨傘のエプトナは、スカイに向かって兵士の肩から飛び上がって、突撃してきた。
殺人雨傘の先端から飛び出した、刺突用の太い針が、戦士スカイ・ザ・ワイドハート目がけて振り下ろされた。
戦士スカイ・ザ・ワイドハートは剣で受けた。
殺人雨傘のエプトナは、戦士スカイ・ザ・ワイドハートに向けて連続して突きを放った。
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道