死闘のツルッペリン街道
「プラチナ・プレートを持った騎士なら、我々の戦略を手伝ってくれ。我々は、ヒマージ王国との古い盟約で、「バラントの街」に立て籠もるヒマージ王国軍を助けなければならない。だが、携帯電話で聞いたところ、ヒマージ王国軍は大敗を喫したらしい」
マグギャランは頷いた。
「うむ、まずは、ヒマージ王国の軍隊が立て籠もる、「バラントの街」まで行く必要があるのだ」
スカイはマグギャランを見ていた。コイツに任せて大丈夫かよ。若干の懸念がスカイを覆っていた。
ブリリディ・ブリリアントの乗った紫色の馬車は、ツルッペリン街道を西に走り続けた。
暴走山賊団「闇の腕」の山賊達が、二十人以上現れて道を塞いだ。
「ワシ等は、暴走山賊団「闇の腕」じゃ!金持ちの馬車じゃ。奪うのじゃ!捕まえて身代金を巻き上げるのじゃ!」
ブリリディ・ブリリアントの乗った紫色の馬車を護衛する、「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」は走り続けた。
隊長のビーゼルは言った。
「ランスでチャージを行う!総員ランスを構え!」
ブリリディ・ブリリアントは、驚愕の光景を見ていた。
ランス(長槍)を構えた「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」は暴走山賊団「闇の腕」目がけて、次々と、突撃していった。
暴走山賊団「闇の腕」達二十人は、ランスのチャージを受けて串刺しにされた。
串刺しになった、暴走山賊団「闇の腕」の山賊達の死体をランスから払い落として「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」は走り続けた。
隊長のビーゼルは言った。
「これが「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」である。邪魔する者は全て実力で排除して、いくので在る。誰も「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」の前進を止める事は出来ないので在る」
青ゾリ兄弟は、ツルッペリン街道を西へと馬を走らせた。
途中で、何度も暴走山賊団「闇の腕」と遭遇したが。だが青ゾリ兄弟達は戦わずに、馬を駆って走っていった。
また、暴走山賊団「闇の腕」が現れた。
「ワシ等は、暴走山賊団「闇の腕」じゃ!」
森の木々の間から、五人の山賊達が飛び出してきた。
ゴドルは槍の攻撃を分銅鎖剣で受けた。
ギーンも小剣で受けた。
ゴドルは言った。
「ええい、しつこい!どうやら、俺達の事が、暴走山賊団「闇の腕」に伝わっているようだな!」
ギーンは言った。
「兄者!携帯電話が圏外で無くなって居るぞ!」
ゴドルは言った。
「そうかギーン!俺達の情報は筒抜けのようだ!」
ギーンは言った。
「兄者!これだけ馬を走らせているのに、いつまで経っても、バゲットとラバナに追いつかないぞ!」
ゴドルは言った。
「必ず、ツルッペリン街道を西に向かうはずだ!バゲットとラバナは時間が無いはずだ!」
ウォリア殺投術ウドル道場の五人の乗った馬車は、暴走山賊団「闇の腕」が散開している、「ヒース平原」まで来た。
赤唐辛子のガラシは言った。
「おう、居るぜ、居るぜ、暴走山賊団「闇の腕」五万人がよ」
ゴイスのカンオが言った。
「アイ、アイサー、沢山居るのさ」
武器屋のバンダは言った。
「悪たれの、サナールは、どこだい」
ヒゲン・デパーロは言った。
「久しぶりだ。サナール坊主が、どんなツラしているか見てやろうじゃねぇか。男っぷりを上げたんだ」
ひときわ巨大なテントが在った。
その中に、ウォリア殺投術ウドル道場の五人は千人隊長デリマに案内されて入っていった。
千人隊隊長デリマは言った。
「サナールの兄貴、お客人達を連れてきました」
サナールは毛皮のコートを上半身裸の上から着て。割れた腹筋を出している。そしてゴールドのアクセサリーを沢山付けて居る。
ヒゲン・デパーロは言った。
「ようサナール。偉くなったものだな。今じゃ、お前も、暴走山賊団「闇の腕」の幹部会「五本指」の一人だ」
赤唐辛子のガラシは言った。
「ウドル道場一の出世頭だ」
武器屋のバンダは言った。
「ウドルの街の悪ガキサナールも、十分立派な悪党になったもんだよ」
投げ殺しのサナールは言った。
「師匠、よくぞ、来てくださいました」
ヒゲン・デパーロは言った。
「久しぶりじゃねぇかサナール坊主。今じゃ、暴走山賊団「闇の腕」の「五本指」の一人だ」
投げ殺しのサナールは言った。
「そうだよ師匠。だが、今「闇の腕」内部で上手く行って居ないんだ」
ヒゲン・デパーロは言った。
「お前達、暴走山賊団「闇の腕」は今は、飛ぶ鳥を落とす勢いじゃねぇか。散々、暴れ回って、テレビに出ずっぱりだろう」
投げ殺しのサナールは言った。
「親分のバーリ・ゾーダーの兄貴が、ダンジョニアン男爵の迷宮競技で殺されたんだ。俺達「闇の腕」は、副団長だったリッヒル・メラーニの兄貴が親分になったんだ」
ヒゲン・デパーロは言った。
「それで何か問題なんだよ」
投げ殺しのサナールは苛立たしそうに言った。
「現在、「闇の腕」俺達幹部会「五本指」が一人当たり、一万の山賊達を率いている。だが幹部会「五本指」が上手く行って居ない」
武器屋のバンダが言った。
「一万人の大将かい、「ウドルの街」の悪ガキ、サナールも大出世したものさね」
投げ殺しのサナールは言った。
「現在「断裂刀のリッヒル・メラーニ」の兄貴が首領で親指を務めている。「戦斧使いのモンガ・バラール」の姉貴が、副首領で人差し指だ。「鉄手のガラン・バラール」の姉貴が中指。俺は薬指だ。そして千人隊長から昇格した小指「一番槍のガホー・ガンダル」だ」
ドンケツのヒゲンは言った。
「俺達は、ちと訳ありでよ。五百ネッカー(5000万円)の仕事をしているんだよ」
投げ殺しのサナールは言った。
「いい金額じゃねぇか師匠。だが、山賊の方が儲かるぜ。俺達「闇の腕」の幹部は、襲撃に次ぐ襲撃で皆五十万ネッカー(500億円)の資産を手に入れているんだ。俺も、かなりの金持ちだぜ」
ヒゲンは言った。
「サナール坊主。上手く頭を働かせろ。ヒマージの軍隊はウスノロだが、本気で軍隊を投入したら、幾ら暴走山賊団「闇の腕」が5万人居ても潰されるだけよ。俺達は危険な橋は渡れないな」
投げ殺しのサナールは言った。
「師匠、俺達は強いんだぜ。今は絶好調だよ。ヒマージの軍隊は俺達の「血の報復」を止められないんだ」
ヒゲンは言った。
「俺達は、五百ネッカー(5000万円)のヤマを狙い続けるさ。バゲットとラバナ、そして三人の冒険屋達から、「手形」を奪う事が仕事だ」
投げ殺しのサナールは言った。
「そうか師匠。俺は何をすれば良いんだ」
ヒゲンは言った。
「サナール坊主、察しがいいな。バゲットとラバナ、三人の冒険屋達の特徴を教えるから、とっ捕まえてくれ。バゲットとラバナは「手形」を持っているから殺してはマズイ。だが、三人の冒険屋達は殺しても構わない」
投げ殺しのサナールは言った。
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道