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死闘のツルッペリン街道

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 「こんな非常事態だが。無事に「懐かしのウタタ」まで辿り着いて、「手形」を渡さなければならない」
 ラバナは言った。
 「そうよ、渡すのよ」
 
ラッパを鳴らして、「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」に護衛された、ブリリディ・ブリリアントの紫色の馬車は、ツルッペリン街道を走っていった。ラッパの音で、避難民達が退かなければ、馬で跳ね飛ばして、ブリリディ・ブリリアントの紫色の馬車が通る道を強引に作っていった。
 赤ん坊を背負った若い母親を「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」は容赦なく弾き飛ばした。
 この冷酷さに、ブリリディ・ブリリアントは、少し背筋に恐ろしさを感じた。
 ブリリディ・ブリリアントは、ビーゼル隊長を呼んだ。
 ビーゼル隊長はブリリディ・ブリリアントの疾走する紫色の馬車の横に馬を寄せてきた。
 ブリリディ・ブリリアントは言った。
 「女、子供まで、巻き込んで良い物か」
 ビーゼル隊長は言った。
 「何の話しか判らぬ」
 ブリリディ・ブリリアントは言った。
 「今、赤ん坊を背負った女を馬で弾き飛ばしただろう」
 ビーゼル隊長は言った。
 「あれは、障害物である、物であるが故に弾き飛ばしたのである。我々「ベルゲンの死の猟犬騎兵団」は目的を遂行するためには、あらゆる事を実行するのである」
 ブリリディ・ブリリアントは、ようやく、自分が雇った、傭兵達の怖さが判ってきた。
 この傭兵達は猟犬なのだ。雇い主の命令を何でも聞く。死の猟犬なのだ。
 血も涙も無い、ビーゼル隊長も人間なのか、睡眠と休憩は必要だったらしく、途中で半分ずつ、見張りを取りながら、鎧兜を着たまま、休息を取った。

青ゾリ兄弟達は、夜通し馬を走らせたが、バゲットとラバナ達と護衛の三人の冒険屋達を発見する事が出来なかった。
ギーンは言った。
 「だめだ兄者。馬が潰れてしまう」
 ゴドルは言った。
 「そうだな、これ以上走らせたら馬は死んでしまうな」
 ギーンは言った。
 「そうだ兄者」
 ゴドルは言った。
 「馬を休ませよう。飼い葉と水を与える必要がある。俺達も休まなければならない」
街道警邏隊の隊長が言った。
 「ここら先は、もう検問所は、ありませんよ。暴走山賊団「闇の腕」の支配地域です」
ゴドルは言った。
 「馬を休ませたいが、どこか、飼い葉と水を飲ませられる場所はあるか」
 街道警邏隊の隊長は言った。
 「この枝道の先には、既に避難が終了した、イスマ村が在ります。そこで、馬に飼い葉を食ませて水を飲ませれば良いでしょう」
 ゴドルは言った。
 「軒先でも借りるが良いか?」
 街道警邏隊の隊長は言った。
 「ええ、今は非常時です。避難したイスマ村の人達も目を、つぶってくれるでしょう」
 ゴドルとギーンはイスマ村に入っていった。 既に人は居なかった。
 ゴドルとギーンは、厩で、馬に飼い葉を与え、井戸から水を汲んで飲ませた。
 そして、厩の藁の上で、夜通し馬を走らせた疲れで死んだように眠った。
 そして目を覚まし、イスマ村から検問所の街道警邏隊の検問所に着た。
ゴドルは言った。
「アロハ・シャツの父親と娘の二人、金髪三白眼の戦士に、黒髪のイケメンの騎士、三つ編みの女魔法使いの三人を見なかったか」
坊主頭の四十代ぐらいの街道警邏隊の兵士Yは言った。
 「さっき、検問所を出て「バラントの街」へと向かって行きましたよ。私達は止めたんですが。村人の救出をすると言っていました」
ギーンは言った。
 「兄者、俺達が眠っている間に、先を越されてしまったようだ」
 ゴドルは言った。
 「ええい、ギーン。追いついて、バゲットとラバナを捕まえ「手形」を奪うぞ」
 ギーンは言った。
 「判ったぞ兄者!」
 ゴドルは言った。
 「どこの村に行くと言っていた?」
 街道警邏隊の兵士は言った。
 「スワートル村です」
 ゴドルは折りたたんだ地図を見た。
 「ギーン。スワートル村は「マードグ男爵」領の村だ。バラント伯爵の領地と隣接している。「バラントの街」から行かなければならない」
ギーンは言った。
 「判ったぞ、兄者!」
 ゴドルとギーンはツルッペリン街道を西に馬を走らせた。

ヒゲン・デパーロ達、「ウォリア殺投術ウドル道場」の五人は、検問所を馬車で通り抜け、「火炎殺法のギラーリ」が御者台で走らせる天蓋の付いていない馬車の荷台で、ラム酒「アホルディ」を回し飲みして出来上がっていた。
 御者台のギラーリが馬車を止めた。
髪の毛を逆立てて、手に戦斧を持った、上半身裸の若い男達と、タンキニを着た女達が、ツルッペリン街道を封鎖するように、腕を組んで立って居た。
若い男が言った。
「「投げ殺しのサナール」兄貴の師匠、ヒゲン・デパーロさん達御一行ですね。あっしは、「闇の腕」の千人隊隊長デリマです。「投げ殺しのサナール」の兄貴には、お世話になっております」
ヒゲン・デパーロは言った。
 「へへっ、話しは付いているはずだ、サナール坊主の所に案内しろ」
 千人隊隊長のデリマが言った。
 「わかりやした。今、案内しやす」

可憐暗殺隊は、最後の検問所に来た。
街道警邏隊の兵士達に止められた。
街道警邏隊の兵士は言った
 「ここら先は、「闇の腕」の勢力範囲ですよ、お嬢さん方」
殺人雨傘のエプトナは言った。
 「私達は強いから大丈夫よ」
 街道警邏隊の兵士は言った。
 「暴走山賊団「闇の腕」の連中が、ご婦人方に何をしているか知っているのですか。ちょっと口では言えないような事をしているのです」
 キラー・リボンのタリマは言った。
 「私達には、やらなければならない事が在るの。だから、前に進むしか無い」
 そして可憐暗殺隊は、馬を進めた。

モンドマーネー劇団は、ヒマージ王国の街道警邏隊の鎧兜を被って、馬車に乗っていた。
既に盗んできた、強力ワックスとジェルと戦斧も用意し、いつでも暴走山賊団「闇の腕」に変装できるように準備を整えていた。
 街道警邏隊の隊長は言った。
「街道警邏隊は、この検問所より、先に行かないはずだ」
カナリス・モンドマーネーは言った。
 「実は我々は、孤立しているヒマージ王国軍に、ヒマージ王国からの密書を渡さなければならない。秘密任務中なのです」
街道警邏隊の隊長は言った。
 「そうだったのですか。なぜ早馬でなく、馬車に乗っているのですか」
 カナリス・モンドマーネーは言った。
 「我々が密書携えている事を気取られぬように、街道警邏隊の格好をしているのであります」
 街道警邏隊の隊長は言った。
「現在、ヒマージ王国の軍隊は、「バラントの街」に籠城しています。ですが、暴走山賊団「闇の腕」は、「バラントの街」に攻城戦を仕掛けるつもりです。バラントの街を見下ろす「ヒース平原」に主力を集めています。既に、バラント伯爵は脱出をしています」
カナリス・モンドマーネーは言った。
「判った、「バラントの街」に、ヒマージ王国の軍隊は駐留しているのだな。我々は「バラントの街」を目指して行く」
 街道警邏隊の隊長は言った。
 「御武運を」