死闘のツルッペリン街道
女のアナウンサーのマッサーが捕まって、剣で切りつけられて槍で腹を刺されていた。カメラも急に倒れて、落ちて、カメラマンらしい男が、戦斧で殴りつけられていた。
急に映像が変わって、「マードグ」街の中で略奪が行われている光景に変わった。
スカイはバゲットに言った。
「どうする。このまま、ツルッペリン街道を西に向かって、「懐かしのウタタ」を目指すのは危険だ」
バゲットは言った。
「だが、時間が惜しいんだ。「手形」を期日までに届ける必要がある」
ラバナは言った。
「そうよ、期日が、あるんだからね」
ラメゲは言った。
「正直な話し。これは内戦だ。ヒマージ王国の一部で内戦が始まった事になる。ルシルスは様が居るから、俺は安全なルートを選択したい」
ルシルスは笑顔を浮かべて言った。
「わたしは平気ですよ」
スカイは言った。
「たしかにバゲットとラバナの都合もあるか。期日が重要なら。何とかして、ツルッペリン街道を西に進むしか無いか」
バゲットは言った。
「だが、フラクター選帝国製のエア・バスが運行しないかも知れない。この場合どうするかだが。私達は、それこそ、速さが必要なんだ」
ラバナは言った。
「速さが必要なんだからね」
ラメゲは言った。
「馬だ。馬に乗って速いスピードで移動するしか無い」
スカイは言った。
「オレは馬に乗れないんだ。マグギャランは乗れるが、多分コロンも乗れない」
ルシルスはVサインを出した。
「実は、わたしは子供の頃から馬に乗って居るので裸馬でも鞍と鐙(あぶみ)が付いていても、両方乗れます。駆け足で走らせるのも得意ですよ。わたしの、お姉様方と妹は、みんな馬に乗るのは得意なんです」
ラメゲは言った。
「オレはタビヲン王国の人間だ、馬は乗れる」
バゲットは言った。
「私も馬は乗れるが、ラバナは乗れない。私の後ろにラバナを乗せる事になるかもしれない」
スカイは言った。
「最悪の場合、暴走山賊団「闇の腕」が暴れている中を馬に乗って突っ切る事になるぞ」
バゲットは言った。
「オマエ達三人は、そのための護衛だろう」
スカイは言った。
「確かにそうだな。俺達冒険屋は、雇い主の望みを叶えるのが仕事だ」
バゲットは言った。
「ダンジョニアン男爵の迷宮競技で一位になったオマエ達三人だ。その腕を見込んで、雇ったんだ」
ラバナは言った。
「そうよ、私達バゲット商会の未来が掛かっているんだからね」
スカイは言った。
「オマエ等は狡っ辛い最低の依頼主だが、俺達冒険屋は仕事はキッチリやるんだよ」
スカイは見栄を切ったが。他の二人が来なかった。
ラメゲは言った。
「馬を借りるか、買う事になるな」
ブリリディ・ブリリアントは、「クメーヌの街」の高級ホテル「ブレッゾ」に泊まってた。
プール・サイドに座って三百インチぐらいある、巨大なテレビを見てた。
テレビ画面には、暴走山賊団「闇の腕」の暴れている様子が映し出されている。
ブリリディ・ブリリアントはミンクの毛皮で覆われた携帯電話を使って、執事のランダーを呼び出した。
ブリリディ・ブリリアントは携帯電話に言った。
「ツルッペリン街道を西に向かうと暴走山賊団「闇の腕」と、ぶつかる可能性が高い」
執事のランダーは携帯電話の向こうで言った。
「旦那様、暗殺者ギルドを雇った次は、何をするつもりですか」
ブリリディ・ブリリアントは携帯電話に言った。
「バゲットとラバナは、必ず、暴走山賊団「闇の腕」が支配している「バラントの街」を通るはずだ。私も、強行して、バゲットとラバナを追いかける必要がある。そのために傭兵を雇いたい」
執事のランダーは携帯電話の向こうで溜息をついて言った。
「旦那様、暗殺者ギルドの次は、カネで戦争をする傭兵ですか、もう旦那様には付いていけません」
ブリリディ・ブリリアントは携帯電話に言った。
「文句を言う前に、騎馬の傭兵で、現在のクメーヌの街に来られる連中達を当たってくれ、数は二十人ぐらい居れば良いだろう。私の馬車の護衛さえ出来れば良い」
執事のランダーは携帯電話の向こうで言った。
「判りました、騎馬の傭兵団を探してみます」
スカイと、バゲットとラバナ、ラメゲとルシルスは、一旦宿屋「シャコー」を出て、馬屋を探す事になった。
ラメゲは言った。
「道案内も必要だな。一旦、ツルッペリン街道を離れて、山道に入って逃げる事も考えなければならない。その場合道案内が居なければ迷う事になる」
馬車や馬を扱っている業者が集まっている「馬横町」にスカイ達は来た。
だが、暴走山賊団「闇の腕」が「血の報復」を行っている、危険地帯である、「バラントの街」へ行く、馬屋は居なかったし。馬車も居なかった。
バゲットは馬の値段を見て難渋していた。
バゲットは言った。
「高い、高すぎる、安くして貰えないだろうか」
スカイは言った。
「オレは馬の事はサッパリ判らない。オマエ等で馬を選定してくれ」
ラメゲは言った。
「任せてくれ。極端に足の速い馬は要らないな。その分、二人分の体重を支えられる悪路に強く、足腰の強い軍馬型の馬が欲しいな」
ラメゲは馬を見ながら言った。
馬屋で馬を見ていると、店主らしいテンガロン・ハットを被った。カウボーイ・スタイルの体格の良い日焼けした女が言った。
「あんた、ラメゲ・ボルコだろう」
ラメゲは言った。
「そうだ」
カウボーイ・スタイルの女は言った。
「賭場のテレビで見るより、いい男じゃ無いか。サシシ・ラーキーの「殺しの秘文字教」は、ごめんだが。そうだったね、自己紹介が、まだだった。あたしゃ、「二刀剣のヒギア・ゼギンズ」だ。馬を乗るのと同じぐらい剣も得意さ」
ラメゲは言った。
「「二刀剣のヒギア・ゼギンズ」。俺達は「懐かしのウタタ」を目指している。時間が惜しいため、馬で暴走山賊団「闇の腕」の支配地域を突っ切る必要がある」
ヒギア・ゼギンズは口笛を吹いた。そして言った。
「良い度胸じゃ無いか。さすが、ダンジョン・ストーカーズ、キリング・ランキング四位だけの事は在るよ」
ラメゲは言った。
「馬を雇いたいが、出してくれるか」
二刀剣のヒギア・ゼギンズは言った。
「あたしゃ、マードグ男爵領の出身なんだよ。村全体でヒマージ王国の騎兵隊に納入する軍馬を育てているツルッペリン街道近郊のスワートル村の出身さ。暴走山賊団「闇の腕」が「血の報復」で通った村だよ。家族や親戚、友人達がどうなったか心配なのさ。こっちの方から頼みたいぐらいだよ。見たところ、サシシ・ラーキーの他にも、スカイ・ザ・ワイドハートも居るだろう。あんた等が居るなら頼もしいよ」
スカイは言った。
「他にも二人居るんだが、連絡が付かないんだ」
スカイは携帯電話でマグギャランを呼び出したが、出なかった。ヤツのナンパが成功したかも知れなかったから放って置いた。コロンは道に迷っているのかも、しれなかった。
二刀剣のヒギア・ゼギンズは言った。
「馬は何頭要るんだい」
ラメゲは言った。
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道