死闘のツルッペリン街道
ルマナは言った。
「ボルコさんは、そんな人じゃ無いんだよ。
このエロ騎士。べーだ」
ルマナは舌を出した。
騎士マグギャランは言った。
「ええい、ガキの、たわごとは断固とした意志で無視する。それでは、暗殺者、これから、まず、オレと一緒に深夜営業の喫茶店に行くのだ。そして、オレが、お前を更生させるために色々と教えなければならない」
タリマは悲鳴を上げた。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドアが次々と開いた。そして顔が出てきた。宿屋「カーユー」のパジャマを着た、魔法使い見習いのコロナ・プロミネンスが杖と呪文書を持って出てきた。
髪をほどいて背中まである癖っ毛の黒い髪をしている。魔法使い見習いのコロナ・プロミネンスはタリマと騎士マグギャランを見ると、杖で騎士マグギャランを殴りつけた。
騎士マグギャランは言った。
「頭を殴るなコロン!オレは今、暗殺者の女に人間の命の尊さを教えていたのだ!」
タリマは武器のキラーリボンを手放して、窓から屋根の上に出た。
スカイの剣は、「殺人雨傘のエプトナ」の開いた金属の部分を盾に使われて、弾かれた。
スカイは合体攻撃を警戒しながら、「殺人雨傘のエプトナ」と「七徳剣のミルカラ」にチマチマと、逃げ重視の攻撃をしながら時間を稼いでいた。
マグギャランの応援が来ると踏んでいたが、突然女の悲鳴が上がった。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
スカイは言った。
「なんだ、何が在ったんだ」
エプトナは。「殺人雨傘」を閉じて言った。
「あれは、タリマの悲鳴?」
ミルカラは、「七徳剣」マックス・カリバーの斧を、折りたたみながら言った。
「タリマが殺された?」
そのタリマが窓から飛び出してきた。
そして屋根の上に着地した。
エプトナは言った。
「どうしたのタリマ」
ミルカラは言った。
「あの悲鳴は何なの?」
タリマは言った。
「騎士マグギャランにナンパされたの」
エプトナは「殺人雨傘」をスカイに突きつけて言った。
「どういうことよ」
スカイは言った。
「アイツはエロイだけだよ。美人を見ると直ぐにナンパするんだよ。その「キラー・リボン」のタリマが、アイツのストライク・ゾーンに入ったんだろう」
ミルカラは「七徳剣」マックス・カリバーを折りたたみながら言った。
「最低の男と連んでいるのね」
タリマは言った。
「仕事は失敗よ。私達は、暗殺する事に失敗した」
エプトナはタリマに「殺人雨傘」を突きつけて言った。
「私達、暗殺者は、失敗は許されない。失敗するときは死をもって償わなければならない。それがバタンの暗殺者の鉄の掟。タリマ、武器を失った、あなたは死ななければならない」
タリマは目を、つぶって言った。
「判っている。ひと思いに殺して」
ミルカラは「七徳剣」マックス・カリバーを持って言った。
「やめてよエプトナ。いくらなんでも、タリマを殺すなんて出来ない」
エプトナは「殺人雨傘」をタリマに突きつけたまま言った。
「甘ったれるなミルカラ。私達はバタンの暗殺者だ」
スカイは見ていた。もし「殺人雨傘のエプトナ」が「キラー・リボンのタリマ」を殺すなら、止めるつもりだった。
スカイは言った。
「止めろよ、オマエ等仲間同士で殺し合って、どうするんだよ」
エプトナは「殺人雨傘」を「キラー・リボンのタリマ」に突きつけたまま言った。
「黙っていろ、スカイ・ザ・ワイドハート」
そしてエプトナはタリマに向かって歩いて行った。
スカイは剣で、エプトナの「殺人雨傘」を
止めるために屋根の上を駆けた。
だが、先に突然「殺人雨傘のエプトナ」は倒れた。
窓の方から「毒針空気銃のルマナ」の声がした。
「タリマ大丈夫!」
スカイは、声がした窓の方を見た。
窓の方では、毒針空気銃を持った、ルマナが居た。
ミルカラは青ざめた顔で言った。
「何をしたのか判ってるのルマナ。あなた、エプトナを殺したのよ」
ルマナは言った。
「違うよ、今、発射したのは、「気絶の毒針」だよ。だから、エプトナは死んでいないよ。ホラ、タリマのキラー・リボンだよ」
そして窓からルマナは、タリマのキラー・リボンを落とした。
そしてルマナは窓から飛び降りた。
タリマはキラー・リボンを拾いながら言った。
「ミルカラ、エプトナを担いで、運んで」
ルマナが「毒針空気銃」を持って、窓から飛び降りてきた。
ミルカラはエプトナを持ち上げて肩に担いだ。ルマナがミルカラの「殺人雨傘」を持った。
そして四人の暗殺者達は、屋根から降りて、夜の闇の中に消えていった。
スカイは言った。
「行ったか」
スカイは剣を鞘に収めて窓を、よじ登ってた。
マグギャランの横で、髪の毛を解いたコロンが魔法の杖を持って居た。
ラメゲの横には、「カーユー」の大きめのパジャマを着たルシルスが居た。そして、パジャマを着たバゲットとラバナも居た。
スカイは言った。
「どうなったんだ」
マグギャランは言った。
「うむ、オレが人の道を教えようとしたら、あの暗殺者の女は、嫌がり悲鳴を上げたのだ」
ラメゲは言った。
「お前のナンパは、しつこすぎるぞ」
ルシルスが口元を「カーユー」のパジャマの袖で隠しながらジト目で言った。
「さすがマグギャランさんですね。殺しに来た暗殺者の女性を口説こうとするとは」
マグギャランは首を振りながら言った。
「愛だよ、愛。オレは愛によって人の道を説いたのだ。だが、あの暗殺者の女は、愛を理解できず、人殺しの道を歩む事を選び、悲鳴を上げたのだ。実に悲しい話しだ」
コロンがボソリと言った。
「……きっとウソだ」
マグギャランは言った。
「コロンよ、前後の関係を理解できずにオレを杖で殴ったようだが。真実は、かく言う如しなのだ」
バゲットが言った。
「どういうことなのだ、暗殺者の女とは何なのだ」
ラバナは言った。
「そうよ、説明しなさい」
マグギャランは言った。
「あの女暗殺者は、俺達三人の命を狙っているのだ。つまりオレ、スカイ、コロンの三人だ」
バゲットが青ざめた顔で言った。
「まさか、ブリリディ・ブリリアントは暗殺者ギルドに手を出したのか?」
ラバナは言った。
「それは、ちょっとマズイかも」
スカイは言った。
「なんだよ、暗殺者ギルドに命を狙われたのは初めてだ」
マグギャランは言った。
「確かに命を狙われた人間の警護をした事が在るが、俺達が暗殺者ギルドに狙われるのは初めてだなスカイ」
全身タトゥーとボディ・ピアスの老女「呼び出しのゲアン」は言った。タリマ達に言った。
「よくも、おめおめと帰ってきた物だね」
タリマは言った。
「私の責任です」
呼び出しのゲアンは言った。
「タリマ、お前一人の責任じゃ無い。四人全員の責任だ。旅費は出すから、これからツルッペリン街道を通って、三人の冒険屋達を必ず殺すんだよ。それか、オマエ達が全員死ぬかの、どちらかしか無い」
タリマは言った。
「判りました」
作品名:死闘のツルッペリン街道 作家名:針屋忠道