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死闘のツルッペリン街道

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バタンの暗殺者「可憐暗殺隊」の「キラー・リボンのタリマ」は、アッセブルの街のスラム街に住んでいた。バタンの暗殺者達が住んでいる、集合住宅の家の呼び鈴が鳴った。
タリマは深夜アルバイトの疲れで眠かったが起きた。
全身にボディ・ピアスとタトゥーを彫り込んだ、老女「呼び出しのゲアン」が言った。
「仕事だよ。コイツ等三人を殺しな」
 タリマはFAX用紙に印刷された冒険屋組合の書類を押しつけられた。戦士スカイ・ザ・ワイドハート、騎士マグギャラン、魔法使い見習いコロナ・プロミネンスだった。
 タリマは暗殺者ギルドからの仕事の依頼を受諾した。受諾するしか道はないのであった。
タリマは膨らんだ赤い革で出来た、ミニスカートの仕事服を着た。
そして、バタンの暗殺武器である、薄いゼンマイのような五メートルもある鋼鉄の刃を丸めて腰のベルトに付けた金属製のケースの中にしまった。
 これがタリマの暗殺用の武器ブレード・リボンであった。カミソリのように研ぎ澄まされた5メートルもある、しなるゼンマイのような薄い刃を自在に操るのだ。
タリマは言った。
「お母さん、タリマは行って参ります」
 タリマの母は、咳き込んだ。
「ああっ、お前には暗殺者の仕事を辞めて欲しかったけれど、バタンの血を引く者の定めは変えられない。そう、変えられないのだよ。許しておくれ、バタンの血を引く父さんと結婚した、この母を、げほ、げほ」
 タリマの母は重い病カッカク病に冒されているのだ。その進行を止めるための高い薬代を医者に払うためには、タリマは日々アルバイトなどの仕事に精を出していた。
 カッカク病を完治させる治療薬は二百ネッカー(2000万円)もするのだ。
 タリマは、看病疲れで、やつれた笑みを浮かべた。
 タリマは言った。
「ううん、お母さんが、お父さんと結婚しなければ私は生まれてこなかった。近所のバタン一族の、お隣さんに、お母さんの面倒を見て貰うように頼んだから。こんな時、バタンの一族だと、助かるのね」
タリマは母に水差しを持っていった。
タリマは言った。
「お母さんの命を永らえさせるために、人の命を殺める私を、お許し下さい御先祖様」 タリマは、先祖を祀る家庭用の祭壇に、お祈りをした。
バタンの血族には鉄の掟があり暗殺者稼業を辞めることはできないのであった。
タリマはアパルトマンから出てきた。
入り口にはバタンの殺し屋の仲間である、エプトナ、ミルカラ、ルマナがいた。
皆、暗殺の準備は出来ているようであった。
 タリマ達は三人の冒険屋達を殺すために行くのだ。
 エプトナは金属製の刃の付いた傘、「キラー・アンブレラ」を用意して白いフリルの付いたコートを着ている。眼鏡を掛けて茶色い巻き毛をポニーテールにして束ねている。
ミルカラは白い麻布で暗殺武器のカラクリ剣マックス・カリバーを覆って背中に担いでいる。浅黒い肌に、黒い髪をショートカットにして、膝まで在るワンピースの青い服の上からフリルの付いたエプロンを着ている。
 一番年下のルナマも藤色に白い襟の服を着て、白い麻布で覆われた暗殺武器の三連「毒針空気銃」を背中に担いでいる。黒髪には茶色いリボンが付いている。
 エプトナが言った。
「タリマ、ターゲットの名前は、スカイ・ザ・ワイド・ハート。マグギャラン。コロナ・プロミネンスだって。今、届いた。これが顔写真よ」
金属製の傘を持った、「キラー・アンブレラのエプトナ」が白いコートの内側から三枚の写真を取りだした。
 タリマは写真で写された顔を見た。
タリマは言った。
「私達の初仕事よ。暗殺者ギルドに可憐暗殺隊として登録しているけれど、暗殺の依頼が来たのは今日が初めてだから、みんな頑張って殺しにいきましょう」
皆、頷いた。
ルマナが泣きそうな顔をして近づいてきた。
 ルマナは言った。
「タリマ、お父さんが試合中の事故で死んじゃった」
 ルマナが泣き出した。
タリマは言った。
 「お父さんって、ルマナの、お母さんが再婚した方の、お義父さん?」
 ルマナは泣きながら言った。
 「あんな人、お父さんじゃない。直ぐに継子の私達五人に暴力を振るうのよ。死んだのは本当の、お父さんよ。トラップシティのダンジョン競技のダンジョン・ストーカーとしてプロスポーツ選手として働いていたのに競技中の事故で死んだって昨日の夜中に電話が入ってきたわ。教えてくれたミスター・シキールっていう人の話ではキュピン・パーキスというスロプ人の筋肉質の大女に手足をパラバラに切断されて殺されたって言っていた。もう火葬にされたって…遺骨も無いの」
エプトナは言った。
「でも、私達は仕事に行かなければならないの、ルマナ」
 ミルカラは言った。
「そう、私達は非情の殺し屋。お金と交換に人様の命を奪う罪人の中の罪人なのよ」
 ミルカラが言った。
 タリマは言った。
「さあ、行きましょう、私達の前には修羅の道しか残されていないけれど。私達には前に進むしか無いのよ。足を止めたとき待つのは死あるのみ」

スカイ達と三人と、バゲットとラバナ、ラメゲとルシルスは、アッセブルの街の、冒険屋組合が後援している宿屋「カーユー」に泊まった。相変わらず、食事は、バゲット商会のファースト・フード店「バゲッティアン」で摂らされていた。
 スカイは言った。
 「オレ、もういい加減、「バゲッティアン」で食うの飽きたよ」
 バゲットは言った。
 「失礼な事を言うな。私の「バゲッティアン」はメニューを常に入れ替えているから、飽きが来ないのだ」
 ラバナは言った。
 「そうよ、飽きが来ないのよ」
 マグギャランは言った。
 「大体、三食全部、「バゲッティアン」で食べさせようというのが問題なのだ」
 バゲットは言った。
 「オマエ達三人は、私に雇われているのだから当然だ」
 スカイは言った。
 「それじゃ、チェックインして眠るぞ」
 バゲットは言った。
 「まだ「懐かしのウタタ」までは大分あるが「手形」届けなければならない」
 スカイは自分とマグギャランの部屋に泊まった。コロンとルシルスは同じ部屋に泊まった。バゲットとラバナは同じ部屋に泊まり、ラメゲは一人で泊まった。
 スカイ達は、宿屋「カーユー」の浴場に入って、据え付けのパジャマを着て居た。
スカイとマグギャランは当直の見張りを決めていた。バゲットとラバナの部屋の前で、最初にスカイが、当直して見張りをする事になった。その間マグギャランが眠っている事になる。
 スカイは、バゲットとラバナの部屋の前で剣を腰に帯びていた。
 昨日は襲撃が無かったし。今夜も来るかは判らなかった。
 だが、ルシルスとコロンの眠っている部屋の前にはラメゲが十本剣を抱えて見張りをしていた。
スカイは缶コーヒー「ビッグ・ダイアモンド・マウンテン」を眠気覚ましに飲んでいた。