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死闘のツルッペリン街道

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 「ガラシの旦那!巡検隊が来たぞ!」
 ガラシは言った。
 「ヒゲン、巡検隊が来やがった」
 ヒゲンは言った。
 「まずいな。巡検隊のメルジは、俺達を、しょっぴくタイミングを狙っている。ここは逃げるか」
 カンオは言った。
 「アイ、アイ、サー」
 ギラーリは無言だった。
 「……」
 バンダは言った。
 「逃げ時だよ」
 ウドル道場の五人組は素早く逃げ出した。
 ブリリディ・ブリリアントの馬車も、いつの間にか消えていた。
 鎧を着込んだ巡検隊が二十人近くバゲット商会のウドル支店に入ってきた。
 三十代後半の女性の隊長が言った。
 「我々は、ヒマージ王国ウドル子爵領の巡検隊で在る。暴力事件が在ったと通報が入った」
バゲットは言った。
 「我々は、今、ならず者達と戦ったのだ」
 巡検隊は言った。
 「その、ならず者達は、今どこへ」
 バゲットは言った。
 「逃げ出したのだ」
巡検隊は言った。
 「もしや、「ウォリア殺投術ウドル道場」
のヒゲン・デパーロ達では」
スカイは言った。
 「間違いネェよ。ソイツだよ「ドンケツのヒゲン」と自分で名乗っていやがった」
 マグギャランは言った。
 「そうだ、「ゴイスのカンオ」という大男と戦った」
 巡検隊は言った。
 「私はメルジ隊長です。バゲット商会ウドル支店を襲撃した「ウォリア殺投術ウドル道場」の連中達は、我々巡検隊も、捕まえようとはしているのですが、被害者達が怯えて、なかなか証人に立ってくれないのです」
 スカイは言った。
 「俺達は、ミドルン王国人だ」
ラメゲは言った。
 「俺とルシルス様はタビヲン王国人だ」
ルシルスがVサインをしながら言った。
 「わたし、タビヲン王国人です」
 ルシルスがVサインをすると、巡検隊の男達から感嘆の声が上がった。
バゲットは言った。
 「私と娘のラバナは、ヒマージ王国人だが、「懐かしのウタタ」まで急用が在る。証人には立てない。ウチのバゲット商会ウドル支店の人間達が証人に立ってくれるだろう」
ウドル支店の支店長は言った。
 「嫌です会長、証人に立ちたく在りません。また、襲撃されたくありません」
 メルジ隊長は言った。
 「これなんですよ。みんな、「ウォリア殺投術ウドル道場」の連中に怯えて、なかなか証人に立ってくれないんです」
 バゲットは言った。
 「私の商会の社員達の為にも、「ウォリア殺投術ウドル道場」の連中達は、捕まえなければならないとは思うが。今は、「懐かしのウタタ」まで行かねばならない。メルジ隊長、後で手紙を送る」
 メルジ隊長は言った。
 「ご協力感謝します」
 メルジ隊長達、巡検隊はバゲット商会ウドル支店から出て行った。
バゲットは言った。
 「スカイ、オマエ達は護衛だろう、ちゃんと、私とラバナの護衛をするのだ」
 ラバナは言った。
 「そうよ、ちゃんと護衛しなさい」
 スカイは言った。
 「しょうがねぇだろう、あいつら五人も居るんだから。俺達は三人だろう」
 マグギャランは言った。
 「そうだ。アイツラは数が多かった」
 バゲットは言った。
 「私は、腹を竹刀で突かれたんだぞ。腹は健康の源なのだ」
 ラバナは言った。
 「わたしは、文系ヲタク女子なのに、腹を変な凶器で殴られたのよ。しっかり護衛しなさい」
 スカイは言った。
 「済んだ事は済んだ事だ。手形を奪われなかっただけ良かっただろう」
 マグギャランは言った。
 「そうだ、それでは夕飯と、宿泊施設を探そう」
 バゲットは言った。
 「だから、宿泊施設は、このバゲット商会ウドル支店を利用しようと言っているだろう」
 ラバナは言った。
 「そうよ利用しなさい」
 ラメゲが言った。
 「ダメだ、ルシルス様を雑魚寝させるわけには行かない」
 ルシルスは言った。
 「わたしは、どうでもいいですよ」
 ラメゲは言った。
 「だめです。そこの魔法使いの娘と一緒に泊まってください」
 バゲットは言った。
 「ええい、しょうが無い、身銭をきるか。ラバナ。もったいなくて、どうしようもないが、宿泊施設に泊まるぞ」
 ラバナは言った。
 「父さん、もったいないよ」
 バゲットは言った。
 「仕方が無い。だが、食事は、バゲット商会傘下のファースト・フード店「バゲッティアン」でとるぞ」
 スカイ達は「バゲッティアン」を目指して歩いて行った。

スカイ達三人と、バゲット父娘、ラメゲとルシルスの七人を見張っている、四人の男女が居た。
 ウドルの街の町人に変装した「モンドマーネー劇団」の団長、カナリス・モンドマーネーは言った。
「うーん、僕の読みはあたったね」
町娘に変装した女優メロア・ソペラは言った。
 「街の、ならず者達程度では、バゲット商会が雇った護衛は倒せないようね」
カナリス・モンドマーネーは言った。
「僕たちの演劇の腕で、バゲットとラバナの護衛達を騙して、バゲットとラバナの身柄をブリリアント氏に引き渡す。これが今の時代のスマートな、やり方さ。騙して、引っ掛けて、金を得る。そうさ、これこそ、今の時代さ」
 町人に変装した男優アギド・モールズは言った。
 「団長、詐欺師の方が演劇するよりも儲かるんですけれど」
団長カナリス・モンドマーネーは言った。
「何を言って居るんだ。詐欺師は、アルバイトで、我々の本業は、役者なんだよ、アクターなんだ」
 町娘に変装した女優ラーナ・マピラは歌うように言った。
 「そうです、私達はアクターなのです!」
カナリス・モンドマーネーは言った。
「我等、モンドマーネー劇団が表の大劇場の舞台でスポットライトを浴びる日も近い。壮大なスペクタクルの劇を上演するのだよ!」

 ブリリディ・ブリリアントは、「モンドマーネー劇団」の劇団長カナリス・モンドマーネーと携帯電話で話しをしていた。
 ブリリディ・ブリリアントは携帯電話に言った。
 「カナリス、「モンドマーネー劇団」は、なかなか、動こうとしないじゃないか。進捗状況は、どうなっているのかね」
 カナリス・モンドマーネーは携帯電話の向こうで言った。
 「現在、バゲット父娘と、三人の冒険屋達を尾行しています」
 ブリリディ・ブリリアントは携帯電話に言った。
 「カナリス。私が欲しい物は、ブレッダー・バゲットか、ラバナ・バゲットが持っている「手形」なんだよ。バゲット商会を乗っ取るには、「手形」が必要なのだ」
 カナリス・モンドマーネーは携帯電話の向こうで言った。
 「慌てないでくださいミスター・ブリリアント。私達は、時間を掛けるんですよ。腕っ節任せの、ならず者達では無いのです。知的にクールかつ、スマートに、バゲット父娘から「手形」を奪うには、事前に入念な下準備が必要なのですよ」
 ブリリディ・ブリリアントは携帯電話に言った。
 「時代はスピードなのだよ。スピード。情報革命が起きた今の時代は、全ては速くなければいけない。君達は、そこの所を判っているのかね。私は、速く、手早く、バゲット商会を乗っ取って吸収合併し、次の買収を手がける必要があるのだよ」
 カナリス・モンドマーネーは携帯電話の向こうで言った。