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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ぺんにゃん♪

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「女の子に泣かれたら作ってあげないわけにはいかないわね、三分くらい待ってなさい(その辺にあるガラクタでテキトーに作っとけばいいかしらね)」
「本当ですか先生! もうこんな臭くて汚いきぐるみなんて必要なくなるんですね!」
 おい、大切じゃなかったのか?
 ――そんなわけで三分後。
 本当に三分で作ってしまったが、前のきぐるみと見た目は変わっていない。
 さっそくパン子は新しいきぐるみに着替えたのだが……。
 パンダ暴走!!
 なんたることだ、着た瞬間にいきなりパンダのきぐるみが暴走しはじめたのだ。
 部屋に嵐が起こったように、発明品が次々と宙を舞い、火花を散らし、ベルはお腹を押さえて、
「うんこ出そう」
 と言った!
 これからもっとひどいことが起きそうだというのに、ベルは現状を放置してさっさとトイレに駆け込んでしまった。
 そして、パンダが空を飛んだ。
 が、天井にぶつかりそうになってパン子が叫ぶ。
「死ぬーッ!」
 そのまま天井をぶち破ってどこかに飛んでいってしまった。
 開いた穴から空が見える。うん、今日もいい天気♪
 …………。
 あまりの展開のスピードにミケは呆然としてしまっていたが、事態の緊急性に気づいてパン子を追いかけた。
 すぐに体力が尽きて倒れたけど!
 ミケの体がふっと浮いた。ペン子が担ぎ上げたのだ。
「早く山田さんを助けなきゃ!」
「オレのこと置いてさっさと行けよ」
 しかしミケとは段違いの体力を見せつけるペン子!
 ミケを担いだまま全力疾走しても息一つ切らさなかった。
 さらにスピードを出すためにミケを背中に乗せて腹滑り(トボガン)で移動した。
 そう、ミケが巨大ペンギンをはじめて見たときと同じ、車より早(はえ)ーッ!
 ついにパン子に追いついたのは屋上だった。
 ペン子の背中から降りたばかりで酔っているミケに、容赦ない暴走パン子からの攻撃。 ロケットパーンチ!
 突然の攻撃にミケは逃げる猶予もなかった。しかも当たったらかなり痛そうだった。
「クソッ!」
 ミケがあきらめた瞬間、まん丸の影が立ちふさがった。
 爆発によって硝煙が、強風が巻き起こり、ミケの身体は大きく後方に吹き飛ばされた。
 ミケは地面に叩きつけられたが、すぐに立ち上がろうと前を見た。ペン子が身動きひとつせずに横たわっている。あのときミケをかばって身代わりになったのだ。
「オレのために……なんでだよ!」
 歯を食いしばりながらミケは立ち上がろうとするが、身体がいうことを利かない。
 パン子の暴走は続いていた。
「ヤダ! なんで? 体が勝手にっ、ミケ様避けて!」
 ロケットパンチを撃とうとミケに照準を合わせている途中だった。
 ここで攻撃を食らったら……。
 そのときだった、逆光を背に貯水タンクの上に立つ謎の影が見えた!
「パンダだけに白黒つけようじゃねーか。正義のヒーローパンダマン参上!」
 シャキーン!
 首に巻いた赤い布が風に靡いた。
 無駄にカッコイイ、無駄にカッコイイのだが、いくつかの問題点を見つけてしまった。
 ヒーローって割にはオッサンじゃねーか!(しかも青ヒゲにケツあご)
 さらにパンダの被り物がシュールすぎる。
 パン子と同じきぐるみかと思いきや、首から下はランニングシャツに股引に腹巻きに、スネ毛にサンダルというゴールデンコンビネーション!
 い、いったいなんだこの変態パンダは?
 ペン子が叫ぶ。
「お父さん、ふんどしなんて首に巻かないで!」
 チュドーン!
 発射されたロケットパンチをもろに食らったパンダマンは、そのままお星様になりましたとさ。ちゃんちゃん♪
 ものすごく無駄な時間を過ごした気がしたが、この時間こそが意味を持っていた。
 ペン子がムクッと立ち上がった。
「転んだらそのまま眠くなって寝てたぺーん」
 大事な睡眠時間だった。
 一眠りしたペン子が元気いっぱい出力全開。
「山田さん、本当にごめんなさい。でもこれしか思いつかなくて……」
「えっ? なにする気?」
「眼からビーム!」
 シュバババババーン!
 ペンギンの目玉から破壊光線が発射された。
 為す術もなく直撃を受けたパン子は大爆発。
 凄まじき破壊力。
 モクモク煙が視界を覆い尽くし、やがて風が吹くと人影が中から現れた。
 パン子だ! パン子は無事だったのだ!
 しかし……そこに立っていたのはボロボロの下着を着た半裸状態のパン子。
 …………。
 ……。
「やっぱりアンタなんか大ッキライ!」
 パン子は泣きながら逃走してしまった。
「がぺーん!」
 ペン子はショックを受けたがすぐにパン子を追いかけた。
「待ってください山田さん! 本当にごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「アンタなんか、アンタなんか、大ッキライなんだからーッ!!(でも、ありがと)」