詩集【紡ぎ詩Ⅲ】 ~恵想花~
星空インクという名前の不思議なインクを買いました。
不思議や不思議 そのインクで書いた作品を読んだ人は、たくさん笑ったり
涙を流したりして、口を揃えて言います。
〝星が輝く綺麗な夜空を見たような気分だよ〟
どんな人が使っても そのペン先から素敵な物語が生まれる魔法のインク
それは星空インクといいます―
☆『心を込めて織り上げた私だけの物語~星空インクⅡ~』
とある小説書きが不思議なインクを買いました
そのインクの名前は星空インク
不思議や不思議 星空インクを使ったペンで小説を書くと
すらすら すいすいと筆が進んで
あっという間に一つの物語りができあがりました
小説書きは物語を読んで思いました
―上手く書けてはいないだろうけど、いつも以上に心を込めて書くことが出来た
それはきっと星空インクの魔法のお陰
小説書きは思いながら
何度も自分の作品を読み返しました
小説書きには幼い娘がおりまして
小さな女の子が母親に尋ねました
―お母さん、自分の書いた小説を何度も読んでいるけど、どこが面白いの?
小説書きは笑顔で応えました
―お前、上手下手は別として、少なくとも書いた本人が読み返して面白いと思わなきゃ、別の人が読んだって、面白いはずがないじゃないか。
自分が読み返して「つまらない」と思う作品は
他人が読んで面白いはずがなく
自分が読み返して面白いと思っても
他人が読んで面白いと思ってくれるとは限りません
小説を書くって、そんなもの
だけど 不思議な星空インクを使って書けば
キラキラ光り輝くような素敵な言葉たちがどんどん浮かんできて
すらすらと書けるので
もしかしたら 面白いと思ってくれる人が一人くらいは増えるかもしれません
そうなると良いな
小説書きはそんなことを思いながら
心を込めて機織り機で織り上げた布のような
大切な作品を今日もまた読み返してみます
美しい星空を眺めたときのような気持ちにさせてくれる
素敵な物語を紡ぐことのできる星空インク
そろそろ残り少なくなってきたので
隣町のあの小さな文具店に買いにゆきましょう
次の そのまた次の作品を書くために
作品名:詩集【紡ぎ詩Ⅲ】 ~恵想花~ 作家名:東 めぐみ