家族会議
主「んだよ!その反応!?大丈夫だって、俺レギュラーだし、エースだし!どうにかなるって。」
母「安希、本当にそんなことでいいと思ってるの?」
主「うん。」
姉「馬鹿ねえ。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、やっぱり馬鹿だわ。」
主「はぁ!?」
姉「エースだろうが、なんだろうが、あんたのチームみたいに一勝もできない様な弱小チームのエースを誰が欲しがるのよ。」
母「それだけじゃないわ。仮にスポーツ推薦で大学に行くとしても、この点数じゃ無理よ。推薦って言うのは普段の学校での生活態度や学習態度、成績だってかかわってくるのよ?このままじゃ、学校推薦にだって通らないわ。」
母と姉の言葉にフリーズする主人公。姉につつかれるとその場に崩れ落ちる。
主「どうすりゃ......どうすりゃいいんだよ?俺大学行けないの?フリーターなの?ニートなの?嫌だぁぁぁぁぁ!」
姉をゆする主人公。
姉は主人公の肩をガシッと掴み辞めさせる。
姉「そんなの、今から勉強する他に方法なんてないわよ。」
主「ですよねぇ......」
母「部活に一生懸命なのもいいけど、もうすぐ受験生なんだから。そこらへんも視野に入れないと。」
主「......はい。」
姉「それに、友達づきあいの方も考え直した方が良いわよ。」
主「......なんで?」
姉「そりゃー、一緒に居て、楽しく過ごせる仲間だって必要だとは思うよ?でもね、互いを高められる......ライバルっていうの?そういう関係になれる友達も居た方が良いわよ。」
主「......どうして?」
姉「姉ちゃんもね、あんたくらいのときは楽しく過ごせる仲間がいればそれでいいと思ってたんだけどね。いざ、受験生になると、駄目なのよねー、これが。受験生になっても遊んでばっかり。......あん時思ったわ、一人でも真面目な友達を作っとくんだったって。」
主「俺は姉ちゃんみたいにならないし。」
姉「と思うでしょ。残念でしたー、なっちゃうわよ、あんたも。」
主「なんで。」
姉「同じ血筋だから。......それに、あんたの場合は......ねぇ......」
主「んだよ、はっきり言えよ。」
姉「......ばかばっかりだからね。」
主「......は?」
姉「ばかばっか......」
主「いや、聞こえてるから。」
姉「ばかばっか......」
主「意味も分かってるから!」
姉「ああ、そう。それなら良かった。」
主「......いやいやいやいやいや。......いやいやいやいや......。」
妹「うるさい!(ハリセン)」
主「ちょ、ちょっと待って姉ちゃん!何で俺の友達が全員ばかだってしってんの?」
姉「ばかは認めるのね。」
主「うん。」
姉「(あきれ顔)......そんなの有名よ。あんたと、田中君と、田上君と、田崎くんと、下田くんの五人でバカレンジャーって呼ばれてるわよ。」
主「なんだよそれ!?俺知らないし......てかそのネーミングセンスってどうなの!?なんで゛○○戦隊●●ジャー゛みたいな名前付けられてるんの俺ら!?」
姉「そんなのあたしにきかないでよ。」
主「えー?えー?えー!?」
妹「中学校でも有名だよ、馬鹿五天王って。」
主「四天王じゃ無くて!?」
妹「うん、五天王。」
主「なんじゃそりゃ。」
妹「大体、お兄ちゃんのせいで学校でも馬鹿にされてんだよ!?『お前の兄ちゃん馬鹿だからお前もばかなんだろー』って。」
主「そんなの、いつもみたいに『馬鹿なのはお兄ちゃんであって、結希じゃないもん。』って言い返せばいい話だろ?」
妹「それが出来てたら苦労しない!馬鹿兄貴!」
主「分かった!分かったから!悪かったよ!兄ちゃんこれからは勉強するから!」
妹「......本当?」
主「うん。」
妹「神に誓って......?」
主「う、うん......。」
妹「わたしの目見て言える?」
主「(無言で目を逸らす)」
妹「できないじゃーん!」
ハリセンで叩こうとする妹を見てとっさに身構えるが何も起きない。
目を開くと、母が妹のハリセンを止めて居る。
母「好い加減にしなさい!なんであなた達兄妹は揃いもそろって仲が悪いの!もっと仲よく出来ないの?お父さんも何か言って下さいな。」
父「ああ、全くだ。母さんの言う通りだ。」
母「今度また同じような事が起きたら、それなりの手を打ちますからね。」
姉・主・妹「......はい。」
タマの鈴の音が鳴ると同時に、母、父、姉、妹のモーションがストップ。
タマ「安希、お前は女に弱いなあ。」
主「なんだ、お前まだいたの。」
タマ「いちゃ悪いのか?」
主「......いや、別に。」
タマ「しかし、お前は女に好き飼って言われてばかりで......悔しくないのか?」
主「そりゃ、悔しくないって言ったら......嘘になるけど。」
タマ「じゃあ、なぜやり返さない。」
主「姉ちゃんが怖い。結希も怖い。......なにより、母さんが怖い。」
タマ「お前は、本当に光彦に似てヘタレだなぁ。」
主「光彦って?」
タマ「お前の父親だろう。」
主「そういえば、そうだった。」
タマ「この家の男どもは見ていて情けない。女の尻にひかれてオドオドしている。男として恥ずかしくは無いのか?」
主「......じゃあ、どうすりゃいいんだよ。」
タマ「ふん、そんな情けないお前のために、このわしが一肌脱いでやろう。」
主「いいよ、別に。」
タマ「よくない!(勢い良く立ち上がる)男たるもの強くなければいかん!特に安希は神田家の長男だろう。長男がそんなにナヨナヨしていてどうする。お前は強くあらねばならんのじゃ!」
主「分かった......!分かったから......!それより、タマ、お前猫なのに立てるんだな。」
タマ「おっと、これは失礼。(座る)」
タマが座り、鈴が鳴った瞬間母、父、姉、妹のモーション再始動
タマ「いいか?まずは姉に仕返しをするのじゃ。わしの言う通りにせい。さすれば、お前は強い男になれる。」
主「......分かった。」
父「とにかく、安希、お前は勉強をしっかりすること。いいな?」
主「はい。」
父「じゃあ、これで第三十六回神田家家族会議を......」
タマ「いまじゃ!安希!」
主「父さん!」
父「どうした?安希。」
主「実は、姉さんの事で......会議を開いた方が良いんじゃないかなって事があるんだ。」
父「ん?なんだ?言ってみろ。」
主「姉さんの......姉さんの彼氏の事。」
姉「安希!あんた裏切ったわね!」
父「これより、第三十七回神田家家族会議を開く!」
姉「安希......あんたを一生恨んでやるわよ......」
主「おい、タマッ!姉ちゃんめっちゃキレてるけど、本当に大丈夫だろうな。」
タマ「ああ、任せておけ。」
タマと主人公はコソコソと話している
一方テーブルでは姉を囲んだ事情聴取が始まっている
母「美希、なんで彼氏がいるって言ってくれなかったの?」
姉「だって、別に一々報告する事じゃないでしょ?」
父「いつからだ、......いつから交際をしているんだ。」
姉「......半年前。」
父「半年前...!?大分前じゃない......」