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馬場ふたば
馬場ふたば
novelistID. 61242
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家族会議

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父「ゴホン......!で?安希、テストは持ってきたか?」
主「あー、いやー......それが......なくしちゃって......」
父「なくした!?そうか......それは仕方ない。」
妹「仕方ないわけあるか!?(ハリセンで父と主人公を両成敗)」
父・主「ぐはっ!?!?!?!?」
母「テストなら、ちゃんとここにあります。」

    テストを取り出しテーブルの上に乗せる母。

父「さすが母さん!」
主「なんで!?ちゃんと隠したはずなのにぃ!?」
母「安希が隠す場所くらい、お母さんにはお見通しです。大体、ベッドの下になんか隠してたら、嫌でも掃除のときに見つかるにきまってるでしょう?」
姉「え、何、安希、あんた隠し場所、小一の頃から変わってないの?ほんっとに、安希はお子ちゃまでちゅねー。小学生の頃から成長してないんじゃないんでちゅかー?」

    馬鹿にした様に主人公の頭を撫でくり回す姉。
    姉の手を振り払う主人公。

主「うるっせー!」
姉「御姉様に向かってうるさいとは何事よ。あーあ、小学生の頃までの安希は可愛かったなあ......こーんなに小さくて、いつも『お姉ちゃんお姉ちゃん』ってついてきてたのに......あーあ、可愛かったなあ。」
主「高校生にもなって、そんなんだったら気持ち悪いだろ!?」
姉「え?高校生?どこに......?(しばらくキョロキョロした後主人公を見て鼻で笑う)ああ。」
主「(姉に突っかかろうとする)」
母「二人とも、そこまでにしなさい。見苦しいわよ?美希はいい年して、いつまで弟をからかうの?好い加減成長しなさい。安希もよ、仮にもお姉ちゃんなんだから、大事にしなさい。」
姉・主「......はい。」
父「......では、本題に戻ろう。安希の中間考査の結果だが......(溜息)全く、どうすればこんな点数取れるんだ。」
主「普通に勉強したら......」
父「これで普通なのか、お前の頭の中は!」
主「あ、ははは、はは......(誤魔化す様に笑う)」
父「本当に、酷いなこりゃ......。数学......4点、国語......15点、英語......9点、社会......19点、理科......3点。」
妹「合計点は50点。平均点は10点、まあ、かろうじて二桁だったんだし、まだよかったんじゃない?」
主「お前......いつの間にそんな計算したんだ?天才か!?」
妹「お兄ちゃんと頭のレベル、同じにいないでくれる?ねー?タマ。」
タマ「にゃー。」

    タマの頭を撫でる妹。
    タマは気持ちよさそうに鳴き声を上げる。

姉「ほんと、こんなのが弟とか、恥ずかしくて仕方がないわね。」
妹「ほんと、兄としての威厳も何もないよ......。」
姉・妹「ねー?」
主「クッ......!!!手を組んで馬鹿にしやがって......!!!」
姉・妹「だって、馬鹿でしょ?」
主「あー、はいはいはいはい。......どーせ俺はばかですよーだ。」

   不貞腐れた様に寝転がる主人公。
   主人公の元へゆっくりと近づくタマ、鈴の音が鳴る。

タマ「そんなに馬鹿にされたままでいいのか?悔しくないのか?」
主「いいんだよ、どうせ俺は馬鹿なんだから。......馬鹿にされたって仕方ない。」
タマ「本当にそうか?お前はその程度であきらめるのか?」
主「諦めるって何だよ。これ以上、どうしろって言うんだよ......!?」
姉「......あんた、さっきから何一人でブツブツ言ってんの?」
主「はぁ!?何言ってんの姉ちゃん。俺一人で喋ってなんかいないけど?」
姉「じゃあ、誰と喋ってんのよ。」
主「誰って、そりゃー............誰だ?」
姉「は?」
主「俺、誰と喋ってんだ?」
タマ「わしとだろ?安希。」
主「......え?」
タマ「ひどいのう、お前とわしはさっきからずっと話してるじゃないか。」
主「え?」
タマ「だから、お前はわしと......つまりは、タマと話しているんだろう?」
主「えーーーーーーー!?」

   勢い良く立ち上がり後ろへ後ずさる主人公。後ずさり過ぎて頭を打つ。
   それを見てケラケラ笑うタマ。
   タマを指さし、口をパクパクさせ動揺を隠せない主人公。

父「ど、どうした?安希?」
主「え、いや......タマが......タマが喋ってるんだって!?」
全員(母以外)「はぁ!?」
父「そんなわけあるか。タマは猫だぞ?人の言葉を喋れる訳が無い。」
主「いや、でも......だって......!」
妹「馬鹿な事は知ってたけど、......いよいよここまで馬鹿だったとは。」
母「お茶でも飲んで、落ち着いたら?」
タマ「にゃーん。」
主「(渋々座り、お茶を一口口に含む)」
タマ「安希」
主「ぶーっ!!!(お茶を噴き出す)やっぱり喋ってるって!」
タマ「落ち付け、安希。」
主「これが落ち着いてられるか!?大体、どうやって落ち着けって言うんだよ!?」
タマ「とにかく落ち着くんだ。安希、お前にしかわしの声は聞こえていない。」
主「いや、もっと意味分かんねーよ!?」
タマ「まぁ、最初は仕方ないだろう。じきになれていけばいい。馴れてしまえば万事OKじゃ。」
主「ああ、そうか。」
タマ「ん?」
主「俺の頭がおかしいから、タマが喋った様に思うんだよな。」
全員「開き直った!?」
主「俺が勉強したら、この現象も無くなるんじゃないのか?」
姉「ちょ......安希、大丈夫?」
主「姉ちゃんが俺を心配してる......?ありえない。」
姉「何よそれ、どういうことよ。」
主「ああ、そうか。きっとこれは夢なんだ、そう、夢だ。俺は夢を見ているんだよ。俺のテストの結果が悪いのも、タマが喋るのも、姉ちゃんが俺に優しいのも......全部夢なんだ。」

    姉が無言で妹にハリセンで主人公を叩く様に指示を出す。
    妹は全力で兄にハリセンをぶちかます。

主「いってーーーーー!?痛い!?え、痛い!やっぱり夢じゃない!?」
妹「当たり前でしょ、この馬鹿兄貴!」
主「おお、いつもの結希だ。」
タマ「大分落ち着いたか。」
主「やっぱりお前は喋るのな。」
父「安希、お前......大丈夫か?さっきからおかしいぞ?......主に頭が。」

    キリッとした表情で父の方へ振り向く
    家族全員がドン引く

主「大丈夫ですよ、お父さん。さぁ、家族会議をやり直しましょう。」
父「あ、ああ......そうだな。再開しよう。」
姉「安希が、安希じゃない......気持ち悪い。」
主「何ですか?お姉さま?」
姉「べ、別に......。」
父「安希、お前こんな点数とってて、自分で危機感を抱いた事はないのか?」
主「はい、全くありません。」
妹「少しくらいは危機感にだけよ!馬鹿兄貴!(ハリセンで叩く)」
母「安希、皆の言う通りよ?今でこんな点数とってて......大学はどうするの?このままじゃ、大学はおろか、進級すら危ういわよ?」
主「大丈夫、心配なよ母さん。俺、サッカーの推薦狙ってるから。」
母・姉「推薦!?」
主「うん。」
母・姉「(溜息をつき、頭を抱える)」
作品名:家族会議 作家名:馬場ふたば