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馬場ふたば
馬場ふたば
novelistID. 61242
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マージナル・マン

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みずき「頼むから、それ引っ張りださないで下さい。」
あきら「でもさ、これで弱みは大分揃ったんじゃない?」
り ほ「だね。」
あきら「後はそれぞれで勝負する、か。」
り ほ「お父さんと同じ失敗する様なへまはしないって言ってやる。」
みずき「俺も、妄想ばっかしてるのは母ちゃんだろって言ってやる。」
かなこ「戦闘体制ばっちりね。」
二 人「当たり前よ。」

   チャイム音CI

かなこ「もうこんな時間か。」
まなみ「帰ろうか。」
り ほ「あ、でも文集とか返さないと。」
あきら「それもあったか。」
みずき「文集は借りた俺らで返しに行くよ。」
かなこ「じゃあ、アルバムはわたしが、」
あきら「アルバムさ、わたしが返しに行っても良い?」
かなこ「いい、けど。大丈夫?」
あきら「おばさんに勝負仕掛けてみなきゃでしょ。アルバム返すついでだし。」
みずき「無事の帰還を待っている。」
あきら「大袈裟な。」
り ほ「あきら、頑張れ。」
あきら「じゃあ、返してくるね。」

   あきら退場
   ドア開閉音CI

みずき「よし、じゃあ、文集返しに行くか。」
り ほ「だね。」
まなみ「二人で大丈夫?」
り ほ「余裕だよ。」
みずき「運動部なめんな。」
まなみ「じゃあ、任せた。」

   りほ、みずき退場
   ドア開閉音CI

まなみ「じゃあ、わたし達は皆が帰って来るまで片づけしようか。」
かなこ「そうだね。」
まなみ「結局、課題、進まなかったね。」
かなこ「でも、いい収穫はできたんじゃない。」
まなみ「だね。」
かなこ「......わたしもさ、ちゃんとお母さんと話してみようと思う。」
まなみ「初反抗な感じ?」
かなこ「......そうなっちゃうかも。」
まなみ「かなこの反抗期か、想像つかないな。」
かなこ「そう。」
まなみ「でも、まあ、たまにはいいんじゃない。わがまま言っても。」
かなこ「まなみも言ってみればいいじゃない。」
まなみ「わたし?」
かなこ「さっき、言いそびれちゃったけど。我慢しすぎなのはまなみもだよ。」
まなみ「わたしは、別に。」
かなこ「将来、したい事あるんでしょ?」
まなみ「うん。」
かなこ「じゃあ、素直に言わなきゃ。どうしたいか。」
まなみ「迷惑、ならないかな。」
かなこ「むしろ、お母さんは喜ぶかもよ。」
まなみ「......だといいな。」
かなこ「今日は二人の初反抗期記念日だね。」
まなみ「何それー。」

   ●職員室
   鳥丸登場
   あきら入室する

あきら「二年一組の鈴木です、鳥丸先生に用事があってきました。失礼します。」
鳥 丸「どうかしたの。」
あきら「アルバム、ありがとうございました。」
鳥 丸「あら、あなたも使ったの。」
あきら「先生、先生の卒業文集見ました。」
鳥 丸「......そう。」
あきら「目標はないといけないものですか。」
鳥 丸「少なからず、わたしの経験上そう思うわ。」
あきら「先生の知ってる道とは違うかもしれないじゃないですか。」
鳥 丸「......そうね。」
あきら「わたし、やっぱり大学は県外に進学します。」
鳥 丸「何度でも言うけど、やめておきなさい。何のために県外に進学するかは分からないけれど中途半端なままで進路を決めるのは良くないわ。」
あきら「それは先生の失敗談からですか。」
鳥 丸「......ええ。」
あきら「わたし、そんな風にはなりません。」
鳥 丸「高校時代、わたしもそう思ってたわ。」
あきら「そう思ってたってことは、先生も反対されたんですか。」
鳥 丸「ええ。」
あきら「嫌じゃなかったんですか。」
鳥 丸「......嫌、だったわよ。」
あきら「じゃあ、なんで、」
鳥 丸「今では感謝してるのよ。」
あきら「え?」
鳥 丸「わたしもね、教師なんて大嫌いだった。自分も教師の癖にね。」
あきら「わたしも、理不尽な事言う大人が嫌いです。」
鳥 丸「でも、その理不尽に感謝する時があるのよ。」
あきら「......どういうことですか。」
鳥 丸「さあ、もう下校時間よ。早く帰りなさい。」
あきら「先生、」
鳥 丸「分かるその日が来たら、先生と答え合わせしましょう。」
あきら「そんな日は来ないと思います。わたし、先生にどれだけ反対されようと、決めた事は絶対に曲げません。」
鳥 丸「......そう。」
あきら「それだけですか。」
鳥 丸「ええ。」
あきら「......失礼します。」
   ●それぞれの家
   幕開きと同じ
   
り ほ「お父さん、やっぱりわたし旅行行くから。」
佐藤父「だめって言ったのが分からないのか、お前は。」
り ほ「お父さんの文集読んじゃったから。お父さんと同じようなへまはしないし。」
佐藤父「あれを読んだのか。」
り ほ「うん。」
佐藤父「お前には危険な目には合って欲しくない。」
り ほ「大丈夫。」
佐藤父「でもな、」
り ほ「『旅行で学んだ事は大きく僕を成長させた。』でしょ。」
佐藤父「お前はあの危険さをまだ分かってない。お前はまだ子どもで、」
り ほ「だから、旅行に行って、自分を成長させるんだよ。」
佐藤父「父さんはどうなっても知らないからな。」
り ほ「じゃあ、行っても良いってこと?」
佐藤父「そう思うならな。」
まなみ「お母さん。」
高橋母「どうしたの、お姉ちゃん。」
まなみ「その、話したい事があって。」
高橋母「ごめんね、手が離せなくて。もう少し待って、」
まなみ「お母さんはいつもそうだよね。」
高橋母「......まなみ?」
まなみ「少しは、たまにはわたしの話も聞いてよ。」
高橋母「まなみ、」
まなみ「進路の事とか、話したい事沢山、わたしにだってあるんだよ、だから、」
高橋母「まなみ。」
まなみ「......ごめんなさい、やっぱりいいや。手伝うよ、」
高橋母「ごめんね。」
まなみ「え、」
高橋母「ごめんね、気づいてあげられなくて。母さん失格だ。」
まなみ「そんなこと、」
高橋母「今までの分もちゃんと話し聞くから、時間が出来るまで待てる?」
まなみ「......手伝うよ。そしたら早く話し聞いてもらえるでしょ。」
高橋母「二人でやっちゃおうか。」
まなみ「うん!」
田中母「みずき、あんたまだ進路表、就職って書いたままで、」
みずき「母ちゃんが何と言おうと就職しか俺は選ばねえ。」
田中母「好い加減にしなさい。就職なんて、甘い道じゃないのよ。大学に行っとけば、少しでも良い企業に、」
みずき「優秀な息子じゃ無くて悪かったな。」
田中母「みずき、」
みずき「俺は俺なりに進路のこと考えてんの。勉強嫌いだから働いた方が母ちゃんに迷惑かけずに済むだろ。」
田中母「......生意気な口をきいて、このバカ息子は。」
みずき「はあ!?」
田中母「あんたが卒業するまで、母さんは口うるさく進路の事は言いますからね。」
みずき「俺の話聞いてた!?」
田中母「その代わり、卒業したらあんたの選んだ道に文句はつけないから。」
みずき「......母ちゃん、」
田中母「せいぜい、母さんに反抗しなさい。」
伊藤母「かなこ、最近成績が伸び悩んでるみたいね。」
かなこ「うん。」
伊藤母「確りしてよ。ママ、かなこに期待してるんだから。」
作品名:マージナル・マン 作家名:馬場ふたば