マージナル・マン
かなこ「ママ、お話したい事があります。」
伊藤母「......急にかしこまってどうしたの。」
かなこ「進路のことなんだけど、」
伊藤母「何?」
かなこ「わたし、やっぱり歌手になる夢は諦めたくない。」
伊藤母「またその話?」
かなこ「冗談なんかじゃないよ。」
伊藤母「ふざけた事言わないで。」
かなこ「勉強はもちろん頑張る。大学ももちろん行く。」
伊藤母「当たり前でしょう。」
かなこ「でも、好きな事も頑張りたい。」
伊藤母「こんなこと言いたくなかったけど、かなこ、あなたね、」
かなこ「ママ、わたしまだ高校生だよ。子どもだよ。」
伊藤母「かなこ。」
かなこ「わがままくらい、言ってみたっていいでしょ?」
●教室
チャイム音CI
地明かり
りほ、あきら、まなみ、かなこ、みずきが教室で雑談している
り ほ「じゃっじゃじゃーん。」
みずき「これは、鹿児島旅行タウン誌じゃないか!」
まなみ「てことは、りほ、了承貰えたの?」
り ほ「そういうこと。」
まなみ「よかったね。」
り ほ「うん。」
まなみ「そう言えば、あれからみんなどうなったの?」
みずき「なるようになったかな。」
まなみ「賛成して貰えたってこと?」
みずき「いや、反対はされたまま。」
まなみ「え、」
みずき「でも、完璧に反対されたままってわけでもないかな。」
まなみ「どういうこと。」
みずき「話すと長くなるんだけどさ、」
まなみ「じゃあいいや。」
みずき「おい。」
かなこ「あきらは?」
り ほ「そうだよ、大丈夫だった?」
あきら「割と。進路の事も了承してくれたっぽいし。」
全 員「まじで!?」
あきら「多分ね。」
り ほ「よかったね、あきら。」
あきら「うん。」
かなこ「まなみは?お母さんと話してみた?」
まなみ「うん。二人でじっくり話したよ。」
かなこ「どうだった?」
まなみ「すっきりした。」
かなこ「そっか。」
まなみ「かなこは?初反抗期、どうでした?」
かなこ「まだ何とも言えないかな。これからって感じ。」
り ほ「えー、かなこ反抗したの?」
かなこ「反抗って言うか、」
あきら「人類の貴重な瞬間を逃したね。」
かなこ「そんなにスケールの大きい話かな?」
みずき「ともかく、全員、対決は出来たってことでいいか?」
全 員「そうだね。」
みずき「と言う事は、俺らに残されたものは、」
あきら「課題。」
みずき「違うだろ!楽しい夏休みだろ。」
あきら「課題も残ってるでしょ。」
みずき「今は現実を忘れるんだ。」
り ほ「と言う訳で、旅行の場所、決めよう。」
全 員「賛成。」
り ほ「今年の夏は、きっと大人になっても忘れられない夏になるね。」
全員で旅行の内容をワイワイ盛り上がりながら話し合う
緞帳下がる
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