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からっ風と、繭の郷の子守唄 121話~125話

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 「姉ちゃんが最後まで、オヤジとの約束を守り、身体を張って頑張ったんだ。
 簡単に、死なせるわけにはいかねぇだろう。
 あとはこいつ次第だ。
 桐生へ着けばトシさんの家で医者が待っている。それなりの手当はできる。
 そこまで持てば、助かる可能性はあるだろう」


 「出血が多すぎるの・・・ねぇなにか、私に手伝えることがある?」


 「無理すんな。
 ・・・・そうだな。じゃ、すまねえがこいつの頭に膝枕してやってくれ。
 出血している場合、逆流を起こして喉が詰まって、
 窒息をしちまう場合もある。
 ロマンチック場面じゃないが、膝を借してくれるとありがたいな」

 「お安い御用です。できるわ、それくらいなら」

 「姉ちゃん。強いなぁ
 それで過呼吸の持病が有るとは、とても、信じられねぇ」


 「いざとなれば強いけど、普段はか弱く、弱い生き物なのよ、女って。
 他に何か、手伝えることがある?。なんでも言って」

 「あとは子守唄でも歌ってくれれば、充分だ。
 それにしても最後まで、音をあげずによく頑張ったなぁ、お前さん。
 大の男だってビビっちまう大仕事を、最後までやり遂げるなんて
 たいした根性だ。
 見直したぜ、姉ちゃん」

 「あなたたちのおかげで、命拾いしました。
 感謝するのは私の方です。
 護衛の男がブレーカーへたどり着いた時、これで最後だと覚悟しました。
 あなたたちが突入してきて、私を救出をしてくれるとは思ってなかったもの」

 「オヤジのマル秘の作戦、『ウルトラD』だ。
 東京オリンピックの体操競技で、ウルトラCという大技があった。
 それにちなんだネーミングだそうだ。
 俺たちには、何のことだかわからねぇけどな。
 姉ちゃんに内緒で作成した、救出作戦のひとつだ。
 店内で数発の銃撃音が聞こえたら、迷わずに飛び込めと言われた。
 銃撃戦の中から、あんたを救出するためだ。
 実行犯の救出はその次だ。、おまけのおまけだ。
 でもよかったぜ。あんたが怪我一つなくて、無事で。
 怪我でもしていたら、オヤジにどやされるだけじゃ絶対に済まねぇ。
 落とし前として指の1本や2本、詰めることになる」

 「あら。やくざの世界では、いまだに不始末を起こすと指を詰めるのですか?。
 前近代的ですねぇ、相変わらず」


 「言葉のアヤだ、ばかやろう。
 おい相棒。道路が郊外へ抜けたら少し急いでくれ。
 実行犯の息が、浅くなってきた。
 ただし。警察に捕まらない程度に飛ばしてくれよ。
 この有様で停車させられたら、お巡りさんへの説明がどうにも、
 ややっこしくなるからな」

 「それは言えるわね。
 でもさぁ、あんたたちって見かけによらずに冷静です。
 あれだけの事をテキパキやり遂げるなんて、たいしたものです。
 そのおかげで、こうして、実行犯もあたしも助かったんだもの」


 「ありがとうよ。お褒めにあずかって光栄だ。
 だがよぅ。いま・・・けっこうピンチの状態なんだ、実は俺。
 言いにくいことなんだが、お姉ちゃんの綺麗な胸がょ・・・・
 お姉ちゃんはまったく気がついていないようだけど、
 今着ているチャイナドレスのボタンが
 取れちまって、白いおっぱいが、おいらの目の前でチラチラしている。
 おいら、鼻血が出そうだぜ。さっきからよぉ!」


 「ああっ!」指摘された瞬間。貞園が自分の胸を覗き込む。
いつのまに取れたのか、チャイナドレスの胸のボタンが、
上から3つちぎれている。
白い胸元どころか、ふくよかで豊かな膨らみまで、露わにのぞいている。
「駄目。見ちゃァ!このドスケベ!」大慌てで貞園が、
毛布を胸元へかき寄せる。