からっ風と、繭の郷の子守唄 121話~125話
からっ風と、繭の郷の子守唄(122)
「絶体絶命。ブレーカーがもとへ戻り、照明が復活する・・・・」
「やっとたどり着いたぜ。いま厨房の一番奥だ。
ママさんよ。配電盤はどこだ。俺はいま右の壁の真下に居る」
「そのまま左へ移動していくと、業務用の冷蔵庫がある。その真上。
そこから2歩ほど横に歩いて背伸びをすれば、届くはずです」
「流行りの電子機器を大量に使うから、ブレーカーが落ちるようになるんだ。
困ったもんだぜ。ママの新しい物好きにも。
おっと何かがぶつかった。こいつが業務用の冷蔵庫かな?」
10人余りの招待客たちが、息を潜めたまま、2人のやり取りを聴いている。
暗闇の中。どこに誰がいるのか、まったく見当がつかない。
それでも全員が護衛の男の命令を素直に聞き、誰も動こうとせず、体を固くして
床に伏せている。
そんな中。気配を消してそろそろと前進していく貞園の指先に、何やら
横たわる物が触れた。
もう一方の指先に、固い金属のような感触が触れた。
冷たさからすると、犯人が落とした拳銃のような気配がする。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 121話~125話 作家名:落合順平