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　『ばかやろう。うまく生きて戻って来られたらという話だ。
　そのくらい、危険きわまりない仕事だ。
　そのことを考えたら、安すぎるほどの出費だ。
　俺も男だ・・・・約束しちまった以上、リャカー1台分くらいの
　ゴルフウェアなら、いつでも喜んで買ってる』


　『あら。約束した途端、いきなり、トラックからリャカーへ
　格下げですか・・・
　しょぼいおじさまですねぇ。金に糸目をつけないと豪語していたくせに。
　いいわそれでも。それで手を打ちましょう。ね、おじさま』


　『やけに自信たっぷりだなぁ、お前さんも。
　よし。両手で抱えて持てる範囲の新作ということで妥協してくれ。
　それで俺も手をうとう。
　不足した分は、おじさんが感謝の気持ちを込めて、熱いキスで補填する。、
　どうだ。そういうことで、今回は納得してくれ』


　『・・・。いいわ、春の新作を上下セットで買ってくれるなら。
　自分の娘のように、あたしのことを心配をしてくださるんですもの。
　無事にすべてが終わったら、あたしの方から、おじさまへ
　キスをさしあげます。
　ただし、ほっぺ限定ということでお願いします。
　それでよければ、契約成立です』


　『契約成立か。なんだか嬉しい響きだな。
　よし、分かった。俺も是非、ほっぺにキスしてもらいたいから
　無事に帰ってこい。
　ただし。無茶はしないという前提つきでな』


　『はい。わかりました。春の新作のために精一杯頑張ってきます。うふふ』


　『なんだかうまくいきそうに思えてきたから、不思議だな。
　いろいろ説明してきたが、俺の助言もここまでだ。
　ひとつ間違えると、総長の組と俺たちの組のあいだで、
　戦争が始まることになる。
　俺も、ここは一番、ふんどしを締め直して気合を入れておく。
　だからお前も、ふんどしを・・・・
　いや、だめだ。女は、ふんどしなんか締めないもんな』


　『ふんどしは有りませんが、似たようなものでＴバックがあります。
　おじさま。Ｔバックを締め直します。うふふっ』


　『やれやれ・・・・お前さんには、まったくもってお手上げだ。
　死ぬんじゃねぇぞ。無茶をし過ぎて。あっはっは！』

　
　時間が刻々と過ぎさっていく。
護衛の男がブレーカーへたどり着こうとしている今、事態は予断をゆるさない。
床を四つん這いで進んでいく貞園の指先へ、横たわって居るはずの
銃撃犯の感触はいっこうに伝わってこない。
さきほど発砲した銃撃犯はいったい、どこへ消えたのだろう・・・・