からっ風と、繭の郷の子守唄 116話~120話
からっ風と、繭の郷の子守唄(117)
「万一の場合もふくめ、作戦はBからCまで準備してある」
「作戦Aは、すべてがこちらの筋書き通りに運んだ場合だ。
だが物事は、そう簡単に、こちらの思惑通りに運ばせてくれないものだ。
そこで作戦Bの登場だ。
これを実行するためには、お前さんに繰り返しの予行演習を
してもらう必要がなる」
「繰り返しの予行演習?。一体、何のための予行演習ですか・・・・」
「逃げ出すためには暗闇の中でも、確実に、出口まで到達する必要がある。
電気を消すのが遅れてしまうこともあるだろう。
いきなり銃撃戦が始まる場合もある。
護衛役の連中が、先に発砲することも考えられる。
連中だって無警戒に『君来夜』へ乗り込んでくるとは思えない。
当然、武装してくるだろう。
周到な下調べをして、乗り込んでくるだろう。
予期しない段階で前触れなしに、突然、銃撃戦がはじまってもおかしくない。
どんな場合でも、まず真っ先に電気を消す。店内が真っ暗になる。
お前さんはブレーカの処から、入り口まで暗闇の中を
移動しなければならない。
どんな障害物があり、どこに段差があるのか、正確に覚えておく必要がある。
暗闇の中でも確実に出口へ辿りつける経路を、前もって何度も、
正確に頭の中へ叩き込んでおけ、ということだ」
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 116話~120話 作家名:落合順平