からっ風と、繭の郷の子守唄 116話~120話
からっ風と、繭の郷の子守唄(120)
「極度の緊張が続く中、必死に作戦Cを成し遂げようとする貞園」
「ご苦労さま。あら、見かけない顔だわねぇ、あんた・・・」
君来夜のママへ花束が手渡されてしまうと、店員の顔がむきだすになる。
隠れていた花屋顔が、全員に向かって露わになる。
帽子のひさしの下から、怪しい光を放つ男の両目が現れる。
『怪しいな、こいつ・・・』護衛の男たちが、懐の中で拳銃を握り締める。
キナ臭い空気が水面下で、ひそかにひろがっていく
それは照明のスイッチに触れたまま、立ちすくんでいる貞園のところまで
はっきり伝わってくる。
「恐れ入ります。受け取りのサインをいただきたいのですが・・・・」
店員がママへ一歩近づく。
「そうだったわねぇ。じゃ、こちらへ」。ママがカウンターへ花束を置く。
ボールペンを探すためくるりと店員に背中を見せる。
その瞬間を想定し、狙いすませて待ち構えていた男が、素早く距離を詰める。
背後からママを、あっというまに羽交い絞めにしてしまう。
ベルトへ隠してきた拳銃を、店員が引き抜く。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 116話~120話 作家名:落合順平