映画 戦国生徒会
空港から高校までは、バス移動。博之の隣に座ったのは福田だった。
「福ちゃん、佐藤の手つないでどうだった?」
「よかった。ダンスの後、よくつなごうと言ってくれたな。あれでみんなも手つなげたし。あ。凜花(山崎)には内緒な」
「死神さんて、どんなヤツなんだろうな?」
「俺も会ってないから分からねえけど、気になるよな。佐藤とどんな関係か」
「そりゃ、付き合ってんだからいろいろあるよな」
「あるに決まってんじゃねえか。ちょっとジェラシー感じるぜ。キッドもそうだろ」
「まあな」
博之は思った。(男子スタッフには、バレてないな)
「近ちゃんが言ってたんだが、今度、死神さんのバンドのライブ見に行こうかって。キッドも行くだろ?」
「ええ? あんまり気乗りしないけどな」
「作曲してもらってるお礼に、ライブのチケットを買わされるかも知れないぞ」
「何枚ぐらい?」
「知らないけど、1〜2枚ってことはないだろ」
「佐藤も行くかな?」
「行くに決まってんじゃん。彼女なんだし」
千鶴は、博之とは別のバスで、旅行中に撮った写真の中から博之を探していた。
(あーあ、あんまりいい写真が撮れてないな。でも、ツーショットも少しは撮れたし、よかったよかった)
「あー。この写真いいじゃん」
隣に座った友達が、青い海をバックに博之と写るツーショットを指して言った。
「う、うん。そうかな。逆光だけど」
「でも、彼氏には見せられないね」
この友達は死神さんのことを言っている。
「いー。彼氏じゃないんだ、けどな」
「またまたぁ。ずっと前から付き合ってたんでしょ」
そこへスマホに着信が。『ハンサム死神さん』の表示。
「あ! 彼氏からじゃん」
「もしもし?」
「ちーづーるー。おーかーえーりー! やっと帰ってきたか? 主題歌完成したからな。明日、音源持って行くわな」