映画 戦国生徒会
その表情を遠くから香織が見ていた。暫くして、香織に博之の番が回ってきた。
「こんばんわ」
香織が言った。
「うん」
博之は、それまで指で摘まれてきたフラストレーションからか、手をしっかりつないで、微笑みながら頷いた。
(何かしゃべるべきかな?)
と考えていると、ちょうどそこで音楽が終了してしまった。香織とは向かい合わせで両手をつないだまま立ち尽くした。博之たちだけじゃない。他の生徒もどうしたものか困りながら立ち止まっていた。彼らは暫定的なパートナーと手をつなぎ続けることに抵抗があったので、すぐ手を離してしまい、にわかにその輪はバラけ始めた。
博之と香織は、これで終わったのか分からず、一番最後まで手をつないでいたかも知れない。香織の友達がその二人を見て笑い出したので、博之は手を離して二人は別れた。
博之との順番が回ってこなかった恵美莉が、博之に近付き、
「何考えてんのかなぁ?」
と言いながら、博之の手を親指と人差し指で摘まんで、映画スタッフのいる方へ引っ張って行った。
(中川豊) 「さっきの対応は何だよ」
(津田柚華) 「何を期待してたの?」
(近藤彰正) 「俺らはゴミか?(怒)」
(山崎凜花) 「じゃあ、今から手つないであげようか?」
(金城ミリア)「誰がいい?」
(福田悠人) 「バカか、言えるか!」
(山崎凜花) 「えっ? 私以外の誰かってこと?」
(佐藤千鶴) 「あーあ。福ちゃん、彼女の前で問題発言」
(川崎恵美莉)「キッドは、香織ちゃんとつないだからもういいよね」
(佐藤千鶴) 「・・・・・・」
(木田博之) 「頼む。つないでくれ! 最後につないだのが別れた彼女なんて、気が重い」
と言って、両手を差し出した。
(佐藤千鶴) 「分かった!」
千鶴は博之の両手をガッチリと握った。