映画 戦国生徒会
第20章: 修学旅行
「言えない」
「言えないわよね」
「どう考えても、死神さん、ちぃと付き合ってるつもりだよな」
「私、会ってないよ」
「分かってる。でも俺が彼氏ですって、言ったらどうなる?」
「作曲やめると思う」
「みんな怒るよな」
「それは怒るに決まってるわ」
「やっぱり、言えない」
「やっぱり、言えないわよね」
今、修学旅行で沖縄に来ている。首里城、平和祈念公園、ガンガラーの谷、おきなわワールド、斎場御嶽、美ら海水族館、今帰仁城跡、古宇利島、etc. ツアーを自由選択で好きなところを回れるのだ。
映画スタッフは、一応、映画撮影用カメラ一台持参で来ていたので、なるべく一緒に行動するようにしていた。もともと沖縄出身の金城は、意欲が湧かないのか、今回はあまり写真を撮っていない。
博之と千鶴は、もう交際宣言を終えている予定だったので、すべてのアクティビティは同じものを選択していたのに、手もつなげない状況で、誰と行動を共にするべきか、その都度困っていた。千鶴はクラスの仲のいい友達と一緒にいる。博之は映画スタッフか、体操部の仲間といることにした。
「なあ、木田ちゃん。佐藤(千鶴)を誘ってきてくれよ」
普段千鶴と交流のない体操部メンバーが、博之をダシに千鶴を呼び寄せようとしている。
「俺らそんなに仲いい訳じゃないから、誘えないよ」
博之はそんなふうに答えて、はぐらかした。それによってますます、二人の交際を打ち明けにくい状況になってしまった。
千鶴は博之とツーショット写真も撮りづらい状況に、イラついていた。
「ねえ、ちづちゃん。バンドの彼氏に、お土産は何買って帰るの?」
椋ノ木が投げかけたこの言葉に、ハッと我に返った。
「違うよ。彼氏じゃないって!」
「そうなの? 夏休みは誰かに会うって、忙しそうだったじゃない」
「そんなんじゃないったら!」