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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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映画 戦国生徒会

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 博之の計画では、もう千鶴との交際を、みんなに打ち明ける時期にきていた。台詞のアフレコは終了し、あとは効果音とBGMさえ入れれば、映画はほとんど完成だ。その作業は中川と近藤がやってくれるだろう。ここでみんなが、二人の交際を知っても、映画の完成に影響はなさそうだった。

 ハンサム死神さんは、あの日以来、顔を見せていないが、千鶴には電話をかけていた。このことは博之も知っていたが、内心穏やかでいられるはずもない。この心境を誰かに打ち明けて相談したいと、悩みながら校舎の外階段を上っていると、そこへ偶然、香織が下りてきた。
「あ」
博之は小さな声が出てしまった。香織は一度目を逸らしたが、すれ違いざまに立ち止まった。普通なら避けて通り過ぎるところだったが、博之はこの時、何か話がしたくなっていた。
「ん? 元気?」
「うん。元気になったわ」
「キャプテンなんだって?」
「そうなの。夏季大会でベスト8まで行って、シード選手にもなれたの」
「香織って、テニスうまかったんだね」
「そんなことも気にしてくれてなかったのね」
「あ、ごめん」
「うそうそ。私だってこの結果に驚いてるんだから。誰も予想してなかったわ」
「でも、おめでとう」
「ヒロ君が褒めてくれると嬉しい。映画は完成したの?」
「もう少し」
「出来たら見に行ってもいいかな」
「・・・・・・いいんじゃない」
「少し沈黙したところが気になるけど、楽しみにしてるね」
「ああ」
そう言って、二人はまた階段を別々の方向に歩き出したが、香織はもう一度振り返った。
「新人戦、応援に来てよ。10月8日」
「・・・・・・行けるかな?」
「もう、また沈黙。来れたらでいいよ」
そう言うと香織は、廊下の方へ曲がって行ってしまった。
(あいつ何か変わったな。面倒くさくなくなってる)

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)