映画 戦国生徒会
1週間後はに3泊4日の沖縄への修学旅行が待っている。博之は千鶴の希望で、その日までに、みんなの前で交際を宣言しなければならない。
しかし、男子だけで修学旅行の話をしていると、
(近藤彰正) 「修学旅行の晩、ホテルのレクリエーションで、フォークダンスするらしいぞ」
(福田悠人) 「フォークダンス? ださくない?」
(近藤彰正) 「実行委員が考えた、女子と手をつなぐチャンスだそうだ」
(杉田時生) 「マジで? 女子は変に思わんのか?」
(野崎賢斗) 「ということは、佐藤(千鶴)とも手をつなげるという訳か」
(木田博之) 「えっ? そんな露骨につなぎたい?」
(中川豊) 「キッドは撮影で手触ったことあるだろうが、俺らはない」
(近藤彰正) 「正直つなぎたい」
(福田悠人) 「俺もつないでみたい」
(桐谷修斗) 「佐藤さん可愛いですもんね」
(中川豊) 「あ、桐谷いたのか。お前は1年だから関係ないけどな」
(杉田時生) 「そうだ。みんなつなぎたいに決まっている」
(中川豊) 「佐藤はキッドだけのものじゃない」
博之は、(本当は、俺だけのものなんだけどな)と思いつつ、やっぱり言い出せなかった。
この日の帰りも、博之は敢えて中川と時間をずらして、先に帰るようにした。中川、野崎、近藤の3人が下校時に、千鶴が見知らぬ奇抜な格好の男と、校門の前で話しているのを見かけた。その男はどこからどう見てもハードロック系で、この高校の生徒ではない。二人の前に停められた派手な軽自動車はその男のものらしい。千鶴の表情は明らかに困っているようだった。
「ちょっと、どうしたの?」
近藤が声をかけて、千鶴の表情はこわばった。
「何かトラブル?」
「ううん。違うの。ちょっと知り合いに会っただけ」
千鶴が慌てて答えた様子を3人は不信に感じた。
「知り合いとか言うなや。彼氏やろ」
この男、関西弁。
「ええ? 佐藤さん、彼氏いたの?」
野崎が聞いた。
「彼氏っていうか、元カレよ」
「ワシらいつ別れてん?」