映画 戦国生徒会
第18章: 言い出すチャンス
9月も後半になり、台詞のアフレコが済んで、編集出来た動画が視聴覚室のプロジェクターで試写された。撮影したすべてのシーンに思い出があり、スタッフ全員ワクワクドキドキして見入っている。
千鶴は自分が変な顔してないか気になった。龍子のシーンはどれもカッコいいが、虎吉はすべてにおいて笑える。博之は自分の台詞が下手だと思っていたが、
「何とかマシになったじゃないか」
とみんなに言われて安心した。
本編の終了後に、単純につないだだけのNG集は、大爆笑だった。
一通り見終わった後、それぞれが感想を言い合って、今後の改善点を話し合った。
(福田悠人) 「意外にちゃんとした映画っぽくなってるな」
(木田博之) 「テレビドラマみたいに見えるのかと思ってたよ」
(杉田時生) 「続けてみると、キッドの台詞結構多いな」
(津田柚華) 「そうね。映像だけでも十分展開が理解出来ると思うわ」
(山崎凜花) 「キッド君とちづちゃん(千鶴)、最初ぎこちないけど、最後の方は息ピッタリね」
(中川豊) 「そうだろ。初めは遠慮がちだったけど、徐々に慣れてきて、うまく意識し合ってる感じに見える」
(近藤彰正) 「それも演出どおりって訳さ」
それを聞いた博之と千鶴は、ドキッとしながら、(本当はそれ以上だけど)と思った。
(川崎恵美莉)「キッドにはもったいない」
(木田博之) 「うるさい」
(川崎恵美莉)「でも、私の衣装が変わらないから、なんだか全部、同じ日の出来事みたいに思えない?」
(中川豊) 「そうか。そう言えばそんな気もするし、雨の日のシーンを間に挿入しよう」
(椋ノ木優愛)「足元のアップとか、閉まるドアの取っ手のアップとか、必要?」
(中川豊) 「テンポよく見せるためなんだ」
(佐藤千鶴) 「BGMが入ると、また違って見えるんでしょうね」
(木田博之) 「メインテーマ曲は、まだ決まらないままだよね」
(近藤彰正) 「誰か作曲出来るやつ知らね?」
(中川豊) 「もう少し細かい部分にも手を加えないといけないけど、文化祭まであと一ヶ月、何とかなるだろ」
(近藤彰正) 「その前に修学旅行があるから、仕上げが遅れないように頑張ろう」