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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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映画 戦国生徒会

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 夏休み中の編集作業に参加しなかった博之は、その間、こっそり千鶴と会ってばかりで、二人っきりの時間をいっぱい過ごすことが出来た。しかし今もなお、二人の交際は誰にも気付かれていない。これからは学校でも会えるが、まだ博之の元カノ香織との別れが話題になる中、堂々と新しい交際を宣言出来る状況ではなかったので、お互いに呼び名も「佐藤さん」「キッド君」としておいた。実際、二人だけの時は、ちょっと恥ずかしい甘い呼び方をしていたが。・・・こんなふうに。

「ひろぽん。アフレコが終わったら、みんなに打ち明ける?」
「ちぃは、それでいい?」
「修学旅行の時、堂々としてたいし」
「じゃ、9月中になるじゃんか」
「早く、手つないで帰りたいよ」
「手つないで帰るのは、ちょっと俺、恥ずかしいな」
「香織ちゃんとは、手つないで帰んなかったのかなぁ?」
「自転車が邪魔だし、つながなかったよ」
「じゃ二人乗りしようかな」
「ちぃは、俺と付き合う前は誰と付き合ってたの?」
「へへへ。付き合ってたっていうか、よく分からない人」
「どんな人?」
「えー。内緒。もう、へんなこと聞かないでよ」
「気になるよ」

 博之は、千鶴の元カレについてすごく気になっていた。千鶴はもてるに決まっているので、男が放っておく訳がない。絶対交際相手もいたはずだが、そんな話は聞いたことがなかった。
 新学期になってからも、もちろん博之は千鶴と密会するので、中川とは時間をわざとずらして下校している。ある日の下校時、自転車でテニスコートの横を通った時、香織が部員を集めて、その中心で話している姿を見て、
(真っ黒に焼けてるな。スマートに見える。痩せたのかな?)
と思った。香織は博之には気付いていない。10月に開催される新人戦のトーナメントに向け、気合の入った練習の日々を送っているようだ。
 博之は自転車をこぎながら、なぜか、(こっちに気付かないかな?)と考えながらテニスコート横の坂道を下って行った。

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)