映画 戦国生徒会
第17章: 新学期になって
新学期になって登校すると、(周囲の視線が冷たい)と博之は思った。夏休み前、美術室の廊下での出来事は、一躍話題となり学年中に広がっていた。夏休みに入ったことで、噂は更に一人歩きして、香織にひどい仕打ちをした上に、合宿で女風呂を覗いた犯人という話になって広がって、こんなあだ名で呼ばれることもあった。
「おう。最低男!」
でもまあその後、香織自身が、話し合っての結果となったことを、周囲に説明したのと、博之が女子映画スタッフと仲良くしていることで、デマはすぐに止んで、逆に映画のことが学校中の興味の対象となってクローズアップされるようになった。
(福田悠人) 「おお。この倉庫の中、暑いな」
夏休み中に持ち込んだ冷風機は強運転だったが、大勢が集まれば室温も上がる。
(山崎凜花) 「食堂のおばちゃんから氷もらってこようか? 氷水で冷風機廻せば涼しくなるでしょ?」
外階段下の倉庫は、スタッフお気に入りの溜まり場で、今ではリビングルームのようになってしまった。
(中川豊) 「順調に編集は完了した」
(近藤彰正) 「福ちゃんのおかげで、楽に編集出来たんだ。さすがパソコンオタク」
(野崎賢斗) 「俺も手伝ったんだよ」
(中川豊) 「野崎には音響担当として、BGMを準備してもらってたんだ」
(杉田時生) 「メインテーマは作曲するんじゃなかったのか?」
(中川豊) 「最初はそのつもりだったんだけど、軽音楽部に拒否されて、ダメだった」
(木田博之) 「吹奏楽部は?」
(近藤彰正) 「秋のコンクールを控えてるから、時間がないって」
(椋ノ木優愛)「流行の曲使ったらダメなの?」
(中川豊) 「著作権があるのはやめとこう」
(木田博之) 「うん。また警察手帳に名前かかれたら嫌だし」
(全員) 「あははははは」
(佐藤千鶴) 「野崎君、どんな曲準備したの?」
(野崎賢斗) 「ネット配信されてる著作権フリーの曲を、片っ端から聞いてダウンロードしといた」
(中川豊) 「それが全然いいのがないんだよ」
(津田柚華) 「いい曲は、売・れ・る・から著作権があるのよ」
(杉田時生) 「おぉー。そういうことか」
(近藤彰正) 「BGMには著作権フリーでもいいけど、メインテーマ曲はガツンとくるのが欲しいな」
この時、千鶴は近藤の側にいた。告白された近藤を意識しないようにしようと心がけていたからだ。