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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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映画 戦国生徒会

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「近ちゃんから? いつ?」
「夏休みに入ってすぐ」
千鶴は静かに話した。花火の燃える音と、水の流れる音で聞こえないくらいに。
「キッド君、香織さんと帰った日あったでしょ。そのあと」
「あのあと、すぐに別れたんだ。俺はもう新しい道に進んでるからって」
「そうだったの」
「で、そっちはどうしたの?」
「新しく付き合い始めた人がいるから、ごめん。て、言っちゃった」
「それって・・・」

 ・・・・・・・・・・・・博之が香織に美術室前で泣かれた、あの日の放課後。
「・・・慰めてくれるならともかく、変なこと言わないでくれよ」
「本当にごめんなさい。じゃ、慰めてあげようか?」
「本気で言ってる?」
「えっと。どうしたらいいかな」
「なら、俺と付き合ってよ」

 ヤケクソな気持ちで、千鶴に言ったあの一言。千鶴は真面目に受け取っていた。
「それは、困るわ。いくらなんでも、今日、香織さんと別れたばかりなのに」
「冗談だよ。もし本当に、俺らが付き合ったら、みんな怒るかも知れないし」
「そうね、絶対。この映画も中止になってしまいそうね」
「あれ? 今、具体的に考えたでしょ。俺と付き合った場合のこと」
「イメージ出来た」
「ならいっそ。内緒で付き合っちゃおうか」
「それならいいかも」
「フフフ」
二人には、ちょっとドキドキした冗談だったはずなのだが・・・・・・・・・・・・

 千鶴は、もう一本の花火に火を移す動作をカムフラージュにして、こっそり博之の手を握った。

「もう、そろそろ帰ろう」
近藤が言ったので、二人は手を放して、何食わぬ顔で振り向いた。
「もう少し、戻るのよしませんか?」
桐谷はもっと登山部の正座を延長するようにしたかったが、明日もあるからこれくらいで許してやろうと中川が諭した。

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)