映画 戦国生徒会
第13章: 山男のプライド
映画スタッフ男子が風呂に入った後、近くの河原で花火をした。
「登山部も誘ってあげればいいのに」
と津田が言うと、
「明日の最終確認があるらしいよ」
と野崎が言った。桐谷以外はみんな、不敵な笑みで頷いた。でも本当は、自室で顧問とクマ先生にこっぴどく怒られて、映画スタッフが戻るまで正座の刑に処されているのだった。
先ほどの騒動で、風呂場を覗くギリギリのところで取り押さえられた登山部員たちは、映画に青春をかけた生徒たちに、ものすごい形相で音もなく引き戻され、部屋に連れ戻された後、どう落とし前を付けるのか審判に掛けられた。
(近藤彰正) 「もう山登らないで、明日の朝帰れ」
(杉田時生) 「逆に女子の前で裸になってみろ!」
(野崎賢斗) 「明日の昼飯代をお前らが奢れ」
等々いろんな罰が求刑されたが、
(木田博之) 「全員オネエメイクで登山しろ」
という意見が採用された。
(上坊幸一) 「それだけは止めて。山でオチャラケは禁物。山男のプライドが許さない」
と懇願したが、
(中川豊) 「塀を登ろうとしたやつらに、山登りのプライドがあるか! しかもお前が一番男に見えん」
と刑の執行が確定していたのだった。
「キッド君、これ持ってやってみて」
千鶴が渡したのは、打ち上げ花火。博之は悪ノリするタイプではないが、両手に持って走り回るところが何人ものスマホで撮影された。
千鶴は次に、手に持つ簡単な花火に火を点けて、博之のところに近寄ってきた。
「危ない危ない。それ俺に向けんなよ! って言ってる矢先から向けんなよ」
千鶴は花火で博之を追いかけた。その様子もみんなのスマホに保存された。
少しみんなから離れたところに逃げてきた博之は、千鶴からもう一本花火をもらい、千鶴の花火から火を移した。川べりにしゃがんで、水面に映る花火を、二人で見ていると、
「私、近藤君から付き合ってほしいって言われたんだ」