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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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そらのわすれもの7

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プラネタリウムが終わると、知秋は優太に連れられ、おみやげショップに向かった。
綺麗な惑星のパズルや星座早見盤、ポストカード、ボールペンが並んでいた。それを知秋は珍しそうに手にとっては棚に戻した。
「何か買う?」
優太が聞くと知秋は顔を横にふった。
「ううん…。知春に申し訳ないから。」
「だったら2つ買えば?」
「あ…。」
知秋は一瞬そうかといった顔をしたものの、結局はいらないと言い、商品の棚から離れようとした。
「これとかどう?」
太陽と月のストラップを優太が手に取り渡すと、知秋は2つのストラップを眺めてから太陽を戻した。
「知春のだけにしとく。」
「買ってあげようか?」
「え!?」
驚いた顔をして知秋は優太を眺める。
しかし、やっぱり顔を横にふる。
「大丈夫。」
「気にしなくていいよ。」
優太が再び手に取り、レジに向かおうとすると、知秋は優太の服を強く引っ張る。その拍子に知秋の髪がふわっと揺れ、日向のような匂いがした。
「太陽は苦手だから…。」
「え?」
感覚として知秋のことを太陽のようなものと感じていた優太は戸惑った。まるで知秋が自分が嫌いだと告白したように思えたのだ。
「あたし、無意識のうちに太陽の力を吸収して生活しちゃうんだ。だから、太陽を見ると自分が人間じゃないと思えて悲しい。」
知秋の言葉を聞くと優太は売り場に太陽のストラップを1回戻した。しかし、思い直したように再度手に取り、レジに顔を向ける。
「買われても、あたし受け取れない!」
慌てて声を張り上げる知秋に優太は言った。
「これ、俺が買って持っておくよ。」
「それって無意味じゃない!?」
無意味ではあったが、太陽のストラップを戻すことに何となく優太は抵抗を感じた。太陽のストラップを奪おうとする知秋をかわし、レジに持っていく。知秋は最初こそ抵抗をしたが、優太がレジの列に並ぶと諦めた。

買われて、お土産袋の中に入れられている太陽のストラップを見ると知秋は何だかホッとした。

レジから戻ってくる優太に知秋は謝った。
「ごめん…。」
何故だか、涙が溢れていた。
どうしてか理解できないのに目から涙が溢れて止まらない。
「嫌だった?」
優太は慌ててレジに太陽のストラップを返品しにいこうとする。
「違うんだ。」
知秋は優太の服の裾を引っ張り、それを止めた。
困った顔をする優太に知秋は言った。
「なんか、太陽のストラップが買われていくのを見たら、ホッとしたんだ。嫌なはずなのに…。」
知秋は一生懸命袖で涙を拭って言った。
「ハンカチは?」
「ない。」
最初会った時といい、今といい、知秋はハンカチを持っていない。それが何となく、優太には可愛いらしく感じた。
「知秋にはハンカチ必要なんじゃないか?」
「うるさい。」
知秋は恥ずかしそうに顔を隠して歩き出した。それを慌てて優太は追った。