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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの7

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プラネタリウムの部屋の中は天井が高く、知秋はそれを物珍しそうに眺めた。
「空ってこんな狭い感じなのか?」
「本物を表現するのは難しいと思うよ。」
「本物は普段見ている方だよな。」
「そりゃそうけど。」
「実際はこうですってやつじゃないよな。」
優太は知秋の奇妙な質問に戸惑いながら、席を見つけ、座った。知秋もその横に腰掛けた 。もじもじしている。
「プラネタリウムなんて、学校で一回くらい行ってると思うけど?」
「ん…。」
知秋は下を向いて、落ち着きなく手をソワソワさせた。
「行ったには行ったけど。」
知秋は美紗に手を引かれて隣に座って見たプラネタリウムを思い出す。浮かれている美紗に合わせて必死に浮かないようにしていた。
「昔から知らないことは極力ボロが出ないようにしてたんだ。だから、疑問はそのまま…。」
不安も悲しみもそのまま。
知秋は人間じゃないという自分に気づき始めたばかりの心細かった頃を思い出す。美紗の隣で泣かないように堪えていた。

だけど、そこは言わない。
知られたところで何も変わらない。
無意味だ。

少し空白の時間。

知秋は付け加えた。
優太に心配を掛けないように。

「まあ、優太はあたしのこと知っているから、嘘つく必要ないもんな…。」

少し気を使っている。でも、全てが嘘ではない。自分が辛い理由を少しでも知っている人がいるのが心強かった。
「無理しなくていいからな。」
優太が伝えると知秋は少し困ったように視線を反らした。

プラネタリウムは定番の流れにそって行われる。

現実的な側面から見た惑星の話。
昔の人が見た星から浮かび上がる星座の話。
そこから更に生み出される空想の物語。

知秋は天井をぼんやりと眺めた。
内容はまったくといって分からない。
あまりにもバラエティーに富んだ話は情報量の少ない知秋にとっては全く理解出来なかった。

それでも、空は綺麗だった。
演技をしながら見たプラネタリウムと違い、純粋に眺めることが出来た。