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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの7

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2


日没間際、ファーストフード店の隅で知秋は突っ伏して眠っていた。優太は知秋の髪を眺めた。夕日を浴び、キラキラ光っている。
知秋は知春と人格をチェンジする為、日がくれる前に帰ろうと言ったが、優太はギリギリまで遊んでみようと答えた。許される限り普通の女の子のように知秋を遊ばせてあげたかった。
店内は3階席のためか静かだった。優太は鞄から参考書を出し、知春が起きてくるまでの時間を潰そうとした。

「こんにちは。」

一瞬誰かと優太は思った。

胸下くらいある髪をおろした風間琴恵が黒いロングコート姿で腕を組んでそこにいた。
「!?」
「随分懐かれているようね。」
琴恵は知秋に近づくと無遠慮に知秋の頭を撫ぜた。

優太はふと知秋をの友人の美紗との会話を思い出す。

『英語の風間が前に知秋に下手に手を貸して、結局放置して、あれから知秋は更に笑わなくなった。』

優太は馴れ馴れしく知秋の髪に触る琴恵を見るとイライラしてきた。
「何をやっているんですか!?」
琴恵は怪しい笑みを浮かべ同じ問いを返す。
「中川さんは何をやっているのかしら?」
優太は返す言葉がなく黙り混む。
「大分、入り込んでしまっているけど。」
琴恵は知秋の頭から手を離し、再度腕を組む、細い長身の身体が更に細く高く見える。現れた時よりも心持ち威圧的だ。
優太は知秋を見る。
「知秋は起きないわよ。」
「!?」
「プッ」
琴恵は吹き出した。
「何を動揺しているの?知秋がこの時間眠っているのはいつものことでしょう?」
優太の表情を琴恵は確認すると真顔になり、テーブルに片手を乗せ、話を続ける。
「ああ…もしかして、私が知秋の事を知っているのかってところから話が必要?」
琴恵は左腕から妙にずっしりとした腕時計を確認しながら、携帯画面を確認する。
「少し話をしましょうか。日没までまだ時間がある。」