CLOSE GAME
「意地悪じゃないでしょう? ちゃんと現実を見なさい!」
「返してよ!」
「ゆうちゃん!」
「返して!」
「祐太!」
「返せよ! バカ!」
ゲームを取り返そうとしたユウタの手が、お母さんの頬に当たった。
「なんて、事……」
ユウタの頬をお母さんの手が叩いた。そして、
「こんな物!!」
怒りに震える手を窓の外に向かって大きく振り下ろした。手に握られていたゲーム機が弧を描いて外へと飛んでいく。
「お母さんの、バカーッ!!」
お母さんを跳ねのけて、ユウタは部屋を飛び出した。階段を駆け下り、玄関を開け、自分の部屋の窓が向いている道路に目をやると、壊れたゲーム機が見えた。それを取りに、車道へ飛び出す。
大きなクラクションが響き、ボクは目を開けた。
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒