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「みんな同じだよ。誰が特別なんてないよ」
「同じじゃないよ」
 ユウタの顔が不気味に歪んだ。
「ソウイチロウはぼくの事、信用してなかった。サトルも何か吹き込まれてからぼくを疑ってた」
 こんな世界に突然放り込まれたんだもの。多少は仕方ないと思うけど。でも……。
「リョウスケは、君のこと疑ったりしてなかった」
「あいつ、意地悪だ!」
 ユウタが吐き捨てるように叫ぶ。
「初めて会った時、ぼくの事、いじめた!」
 あれは、ユウタのヒーリングの力に喰いついただけで……。確かに、方法は乱暴だったけど。
「みんな、ぼくの事、いじめるんだ。すぐに泣くからって、面白がって……。でも、タカヒサは優しかったから、だから、ぼく……」
 だから、ボクだけ残れば他はいらないって言うの?
「だから、ここにいたのがボクだけだって分かって、嬉しかった、の?」
 そう。ユウタが戻ってきた時、そこにリョウスケはいなかった。それを見た時、ほんの一瞬、ユウタの口角が上がったんだ。あれは気のせいじゃなかった。
「だって、もう、いじめられないで済むんだもん」
 そう言って笑ったユウタはボクの知ってるユウタじゃなかった。
 ボクはソウイチロウの言っていた事を思い出していた。
 ――― 『あいつだけが、オープニングを見てる』 ―――
 確かにそうだ。そして、確認していないことがひとつ。
「ねぇ、ユウタ」
 ボクはそれを聞いてみた。
「君、どこでゲームを手に入れたの?」
 ユウタの顔が怒りに変わり、ボクの周りが暗くなる。
「タカヒサも、ぼくを疑うんだ? 友達じゃないから、ぼくなんか、信用出来ないって言うんだ?」
 半分涙声にも聞こえるユウタの声。
「タカヒサなんか、いなくなっちゃえ!」
 ユウタの叫びと共に、ボクの身体が闇の中へと吸い込まれていく。
「ユウタ!」
 泣き顔のユウタが、一瞬、手を差し伸べた。それを掴もうとボクも手を伸ばす。でも、その手は届く事は無く、小さな光を握り締め、ボクは闇へと落ちていった。


作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒