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 ひとりになってしまった暗闇で、不安が広がっていく。このまま、誰も戻って来なかったら、ボクはどうしたらいいんだろう。先に進む事も後に戻る事も出来ないまま、ここにずっといる羽目になるんだろうか?
 そう思って身震いした瞬間、奥から足音がして辺りが明るくなった。ユウタのクリスタルの光だ。安心して駆け寄るボク。
「ユウタ!」
「タカヒサ?」
 半べそのユウタが、ボクの方へとクリスタルを向けた。
「リョウスケ、は?」
「そ、それが……」
 いなくなってしまった事を説明しようと……。あれ? 今、一瞬……。てか、ユウタ、ひとり?
「サトルは?」
 ユウタの後ろを覗きながら聞くボクに、
「変なのが出て来て、飲み込まれちゃった」
 泣きながら答える。いつものユウタだ。
「もうヤダ。戻ろう、タカヒサ」
 余程怖かったのか、両拳で涙を押さえている。
「ふたりじゃ倒せっこないよ。戻ろうよ」
 ふたりじゃ倒せない。確かにそうだろうと思う。でも、戻ったってソウイチロウ達は……。
「分かった。ラストステージには行かない」
 ユウタが泣き止んで頷く。
「その代わり、ソウイチロウ達を探す!」
「タカヒサ!」
 今回はラストステージは諦める。その代わり、どんなに時間が掛かってもいい、三人を探し出して、一緒に元の世界に戻るんだ!
「ダメだよ。今度は、タカヒサがいなくなっちゃう!」
 ユウタが首を強く振って反論する。
「ふたりでもいいよ。元に戻らなくたっていい。この洞窟から出ようよ!」
「ユウタ……」
「この世界にいれば、発作も起こらないんでしょ? 苦しい思いをしないで過ごしていけるじゃないか」
「ユウタ……?」
「ふたりでここで生きていこうよ!」
 何を言って……?
「“元の世界に戻りたい”んじゃなかったの?」
「だって、このままじゃ、ぼく、ひとりになっちゃう!」
「それって、どういう事?」
「友達だったら、一緒にいてよ!」
 その口から出る言葉に戸惑うボク。ユウタってこんなわがままだったっけ?
「ユウタ。友達だから、放っておけないんだ」
 一緒に笑って一緒に過ごした。たった少しの時間だったかもしれないけれど、ボクらは友達だから。
「ぼくじゃダメなの? ぼくひとりじゃ、意味はないの? 友達はたくさん必要なの? ぼくと三人とどっちが友達なの?」
 “どっち”って……。
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒