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 “な?”と笑うリョウスケの手をバツが悪そうに振り払い、ソウイチロウがメガネを掛け直した。
「それで?」
 気を持ち直して、サトルに向かうソウイチロウ。その姿が何だかおかしくて、ボクとリョウスケがクスクス笑う。
「『水の皇子』らしいよ、僕」
 包まれた水の中、青い宝石が光り、声が響いた。とサトルは言う。
 邪悪な光りが水に映る自らの姿をうつし取り、対になった時から、その姿は水の鱗をまとうドラゴンへと変化してしまった。禍々しい闇の光に取り込まれて、ただ泉を守るだけだった筈なのに、水を支配していたのだと……。そして、あの戦闘で鱗を剥ぎ取られ、最初の一対に戻った時に、邪悪な映し身を粉々に粉砕したのが、サトルのロングソードだった。
「『聖なる水の加護』だって言ってた」
 銀色の細工の真ん中には青いクリスタル。空を映した水のような深く澄んだブルー。
「これで全員のアイテムが揃ったってわけだ」
 ソウイチロウの言葉に全員で頷く。ユウタの光のクリスタル。ボクの風のクリスタル。リョウスケとソウイチロウの炎のクリスタル。サトルの水のクリスタル。
「て、事は……」
 リョウスケがソウイチロウを見て、
「ラストステージだ」
 頷くソウイチロウがユウタを見た。ユウタが胸のクリスタルを握り締める。
「光のクリスタルよ……」
 そっと放されたユウタの手。クリスタルがフワリと浮き上がった。キラキラと輝きながら、回復の泉を指し示す。
「……泉……?」
 泉に入れって事なのかな? てか、無理! 溺れるし!
「待って!」
 サトルが泉のほとりに立った。
「さっき水滴の中にいる時に洞窟が見えた」
 泉が干上がってた時だ。
「多分、その洞窟が……」
 サトルの腕でクリスタルが光る。
「分かった」
 サトルが頷いた。何かが聞こえたみたいだ。
「聖なる泉よ、我に道を開き給え」
 祈るようにサトルが手を組むと、泉の水面に細波が立ち、人がひとり通れるくらいの幅で水が引いていく。
「すっげー! ヤッホイ?」
「十誡!」
 “イしか合ってない!”と、リョウスケの頭をソウイチロウが小突いた。
 クスクスと笑いながら、水の引いた泉の底をサトルを先頭にソウイチロウ、リョウスケ、ボク、ユウタと続いて歩く。ゆらゆら揺れる水の壁は今にも崩れ落ちそうで落ちない。時々リョウスケが壁に指を突っ込んでいる。
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒