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 真っ暗な中からメガネの声がする。ボクとユウタは、足元に生えているキノコを数本採ると暗闇に向かって差し出した。集められたキノコの淡い光の向こうに、メガネの姿があった。
「そこそこ広いから、大丈夫だよ」
 メガネが手招きしたのは、斜面にできた洞穴の中だった。
「どこかに繋がってるわけじゃなさそうだから、今夜はここで寝る」
 あまりの力強い言い切り方に、誰も反論できない。反論したところで行き先があるわけじゃないから、どうにもならないんだけど。
 洞穴の中に五人並んで座った。奥にユウタ、真ん中にボク、入口側にサトル。ボクら三人に向かい合って、奥に黒×深紅の甲冑、入口側にメガネ。
「で?」
 メガネに促されてボクらは今までの経緯を話した。
 ベッドで見つけたゲームを始めた事。気が付いたら、この世界にいた事。ユウタと出会って、サトルと出会って、クリスタルに導かれてふたりを見つけた事。
「なるほどね。ゲームの世界、か……」
 自分と隣の奴の装備を見ながら、メガネが頷いた。
「俺は、ソウイチロウ。こいつはリョウスケ。俺達も入院中だ」
 入院先は、ボクらと同じ小児病院。ソウイチロウは盲腸。リョウスケは、交通事故で右足骨折のため入院中。ふたり揃って、この世界に“落ちてきた”らしい。
「落ちて……?」
 首を傾げるユウタをメガネ越しにチラリと見て、ソウイチロウが大きく伸びをする。
「まぁな。そもそも、こいつが……」
 ソウイチロウの言葉を
「うるせぇよっ!」
 リョウスケが止める。
「関係ねーだろ、そんなこと!」
「“関係ない”ね」
 やれやれと呆れたように首を振る。
 ちょっと待って! この仕草、どこかで見た気がするんだけど……。
 ボクが考えていると、
「お前!」
 リョウスケの手が、ユウタの服を掴んだ。
「“望みが手に入る世界”って言ってたな?」
「う、うん」
 その勢いに、ユウタの顔が泣き顔へと歪み始める。
「望む事はなんでも叶うのか?」
「……て、言ってた」
 涙目で頷くユウタ。
「離せよ!」
 ボクは、ユウタを掴んでいるリョウスケの手を掴み返した。でも、そんな事はお構いなしにリョウスケは続ける。
「オレの足も治るのか? また、動くようになるのか?」
 泣くまいと唇を噛み締めながら、ユウタが首を振る。
「なんだよ! 答えろよ!」
「わ、分かんない!」
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒