CLOSE GAME
「ボクは……。オープニングかっ飛ばし組だから……」
なんとも返事のしようがない。
「でも、ユウタの言う通り、お母さんには会いたいかな、って」
「“望むもの”……」
サトルの視線がチラリと逸れた。
「サトル?」
「……うん! 戻りたいよね!」
妙な間の後、サトルが頷く。
「それで、“果て”って、遠いの?」
笑顔で投げかけられたサトルの質問に、ボクらは顔を見合わせた。この世界の知識もなければ、具体的な地図もない。
「頼れるのは、このクリスタルだけなんだ」
光を取り戻したクリスタルにそっと触れて、ユウタが溜息をついた。
クリスタルの示す方へと歩いて、ボクと出会った。少しの冒険を経て、今度はサトルと出会った。次は……?
「仲間を探した方がいいと思う」
ボクらを見て、サトルが頷く。
「仲間?」
「僕たち、あまりに力が無さ過ぎるじゃない? この状態で“果て”を見つけたとしても、とても“統治者”と渡り合えるとは思えない。だから……」
要は、“質より量”という事らしい。
「一緒に元の世界に戻る“仲間”……」
サトルの言葉を聞いたユウタが小さな声で呟いたその瞬間、クリスタルが輝きながらフワリと浮いた!
「あっちに、仲間がいるの?」
頷くかのように、クリスタルがフワリフワリと宙で揺れる。
「行こう。ユウタ、タカヒサ!」
妙に人をひきつける笑顔をボクらに向けて、サトルがクリスタルの指す方を見据える。
クリスタルに導かれて、ボクらは森を後にするのだった。
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒