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道化師 Part 4

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一気に話し終えるとサクヤと龍成が難しい顔をしている。
「鎌倉の別荘か、ホントだと思うか?サクヤ」
「茂からの連絡を待つか、罠かもしれないけど動くか」
呑気に話す二人に苛々する。
「俺は、迎えに行くからな。場所を教えろ」
「もう少し待て」
「悠長に待ってられない、それよりヒロには言ったのか?」
「こっちに向かってる」
「田所さんと一緒に来るのか?」
「いや、田所は病院で治療中だ。橘が連れてくる」
「えっ、親父さんが来るのか?」
「知則に頼んだから大丈夫」
「トモさんか良かった」
「龍也は相変わらず橘が苦手か?」
苦笑を零す龍成に怖いんだよなと龍也は顔を引きつらせた。


ヒロが着くまで待てと言われ、仕方なく龍也は待っていたが体が早く一海の所に行きたいとウズウズする。
「兄貴、さっき田所さん病院って言っていたけど、事故ったの?」
龍成をちらっと見て、頷くのを確かめ話し出した。
「田所は、ボーガンで腿を撃ち抜かれて動けない。傷はそんなに酷くないんだ。脅しのつもりなのかよくわからない」
「なんだよ、それ。ヒロの次は田所さんって。どこで撃たれたんだ?」
「龍成の家の前だ」
「俺たちへの脅しなのか?ミユキに関わるなって事言いたい訳、ふざけるな」
龍成の携帯が鳴る。
「解った、ヒロを待って動く。面倒をかけた」
電話を切った龍成は別の所に電話をしている。
「安城、鎌倉の別荘の方はどうだ?
茂からそっちに向かってるのは確かだそうだ。気をつけてくれ、出来るだけ動くな」

別荘に部下をもう向かわせていたのか?
「安城さん、別荘を見張ってるのか?行動が早過ぎないか?龍成さん解っていたのか、こうなる事を?」
俺たちは利用されたのか?と腹が立ってきた。
「まさか、俺はそこまで先を見るのは無理だぞ。あの男が潜伏しそうな所を張っていただけだ、そんなに怖い顔するな。可愛い顔が台無しだぞ」
「可愛くない!」
「龍也、煩い。それで、茂はなんて?」
「一海のGPSから間違いなく鎌倉に向かってる。あいつも出向くらしいが」
「茂、勝手に動いて大丈夫なのか?」
「いざとなったらタモツが動きやすいように手を回すさ」
「そうだな、鎌倉の情報見せて」
解ったと言ってパソコンに向かいカタカタとキーボードを打つ音、コピー機から数枚紙が吐き出された。
サクヤがそれをテーブルに置く。
俺は尽かさず住所を携帯のナビに打ち込んだ。
「俺、先に出る。安城さんと合流して向こうで待つ。ここにいても落ち着かない。いいだろ?」
二人から大きなため息が溢れ
「駄目だと言っても行くんだろ。絶対に無茶はしないと約束してくれ」
「兄貴、解ってる。無茶はしないから」
じゃ行ってくるとバイクの鍵を持ち出て行く。
一海の待ってる場所に。そして、ミユキも取り戻す。もう一度あの幸せそうな二人を見たいから。


作品名:道化師 Part 4 作家名:友紀