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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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忘れじの夕映え 探偵奇談8

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天の瞳



「あっくんが来た?」

朝練を終えて教室へ行くと、瀬戸青葉が沈んだ表情で瑞に訴えた。いつもはつらつとしている彼女には似合わない表情だ。

「夢に出てきて…目が覚めた時も、手を握っていたような気がするんだ」

夢に。青葉の様子を見ていると、嘘をついているようには見えなかった。昨日あった少年の気配は、ますます濃く彼女を取り囲んでいるのを瑞は感じた。

(俺があんな話したから怖がらせたかも。でも、あの子はやっぱりそばにいる…)

少年の気配は、青葉のそばに寄り添っている。瑞にはそれが視えていた。俯き、申し訳なさそうに。それでもその瞳には、懇願するかのような必死さが伺える。青葉に危害を加える気はなさそうだが、何かを訴えたいのは確かなようだった。

「約束、思い出せないか?」
「うん…なんでだろう、そのあたりのこと思い出そうとすると、靄がかかったみたいにはっきりしない」

行ってみるのが早いかもしれない。瑞は青葉に提案した。

「瀬戸、明日時間ある?」

明日は土曜日だ。

「あ、うん…午前練習終わったら、暇だけど」
「その野原っていうのか?みんなで遊んでだっていう…連れてってくれるか?」
「え?」
「何かわかるかもしれないから」

しばらく考えたのち、青葉は頷いて承諾した。そして。

「あ、じゃあ郁ちゃんも誘うわ」
「は?なんで一之瀬?」
「昨日から気にしてるから、あんたがあたしとどうこうならないかって」
「はあ?」

意味がわからない。しかし青葉は何か心得たように頷くのだった



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