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白と黒の天使 Part 3

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静かな部屋に僕以外の寝息が聞こえ、体を動かすと愁の穏やかな寝顔に涙が溢れる。離れたく無い、どんなに罪を犯しても、生きる事が罪だとしても側にいて、その温もりを感じていたい。その大きな翼で包まれていたい。罪深い僕が天使に抱かれたいと望む事は愚かなのかもしれない。でも、それを望む僕は何を代償にしても構わないとさえ思う。
ふらつく重い体を温もりの中に滑り込ませ僕は安らかな眠りへと沈んでいく。
心地よい眠りから覚めようとする僕の手は温もりを求め彷徨う。でも、冷たいシーツがそこには求める者がいないと教えるだけ。
「兄さん……」
呟いた言葉の代わりに僕の口から零れたのは掠れた息だけ。
「兄さん……愁……」
何度言葉を紡ごうとしてもその言葉は音をなさなかった。
〔あぁ、僕の声はもう無い。愁の側にいられることへの代償が僕の声……〕
それでも僕は側にいることを許されたような気がして、愁の残り香のする枕を抱き締め瞳を閉じる。
僕の声の対価は後何年一緒にいられるのだろう……次は何を差し出せば……僕は魂だけになろうと側にいたいと願う愚かな自分が黒い羽根を持つ悪魔に思える。
僕の側に帰ってきた腕に抱き抱えられベットに横たわる僕は、そっと醜い闇の羽根を隠し、眠りにつく。
愁への想い以外、全てを闇に捧げ、自ら闇の一部と化し、次に目を覚ました時、漆黒の羽根を背に纏っているだろう。
それが、僕の望みを叶える代償ならば、躊躇なく受け入れる、笑みを浮かべながら……。