小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

白と黒の天使 Part 3

INDEX|2ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

一時間もしないうちに広海が、やってきたが一人ではなかった。
「なんで、フルメンバーなんだよ?俺、光一さんと周だけと思ってこいつ連れてきたのに……」
「咲良はバイトでいないよ」
だから、フルじゃないと僕が言うと、全員がため息をついてる。僕、また変なことを言ったのだろうか?
「松ちゃんまでいるのはなんで?」
広海は僕がよく松ちゃんと仲良くしてるから必然的に友達になってる。
「広海、そんなんどうでもええわ、お前の後ろ、固まってんで、紹介せんかい」
あぁ、ごめん忘れてたと、後ろで戸惑ってる彼をみんなの前に引っ張り出した。
「こいつ、俺と同じ組の轟柊二(とどろき しゅうじ)で戸川の幼馴染で生徒会書記、戸川のボディーガードしてたんだけど、戸川本人に避けられて、どうする事も出来んようなって」
相談に来たのに、この話していいのか?と僕と周は知っているからその他のメンバーを見渡す。
「俺らも今、そのことで集まってるから、広海全部話せ」
周が其々が掴んだ情報を整理して作戦を練るからと硬い表情で話を促す。
「リビングで話そう、勝美、写真をプリントして持ってきて」
光一さんがリビングの大きなテーブルに先にプリントアウトした写真を広げた。
広海と轟は、まだ全体の話が読めないでいたが、広海は、鞄の中から集めた資料を出し、テーブルに置いた。
轟は良いのか?と視線を向け、広海が頷くのを見て自分も同じようにテーブルに置いた。
勝美さんが戻ってきて、今の段階で集めた物がテーブルの上に集められた。
作戦会議が始まる。


机に並べられた資料の中に顔写真入り資料があった。
「広海、これ生徒のデータやないのか?こんなん勝手に見て大丈夫なんか?」
びっくりする光一さんと勝美さんを前に元生徒会の兄二人と現生徒会二人が頷くなか、愁は不敵に笑う。
「生徒会は、殆どの権限を学校から託され運営してるからな。そんなもんは当たり前に見れる。権限的に言えば、場合によっては生徒会長は校長より権限が上の場合もあるけどな」
なんやねんそれは?と光一さんがすごい学校やなと感心してるのか呆れてるのか、僕も、光一さん程ではないが、ここまで凄いとは思ってなかったから、びっくりしてる。
僕は、その顔写真のうち3人を示した。
「この3人、間違いないよ。僕がちょっと殴った人達」
「ちょっとじゃないだろ?一人は肋骨にヒビ、もう一人は指を骨折、あと一人は肩を脱臼。あいつらも表立っては言えないから黙ってたけどな、友紀気をつけろよ」
広海が呆れた顔をするけど、かなり手加減した僕は思わずそんなにやってたのかと、申し訳なく思った。
僕たちの話す内容にチラチラとびっくりする様にみる轟に愁が眉間に皺を寄せる。
「何か言いたい事があるのか?」
凄みのある顔と声にビヒリながらも
「この容姿で信じられない……」
ボソリと呟く声が聞こえた。
「友紀、手加減しても怪我をさせるんだ、気をつけろ」
愁までも溜息交じりに僕を諌める言葉にまた轟の「手加減してたんだ」と呟き、それが可笑しく思えた。
「広海、生徒会の方は関わってる奴らを把握してるのに、なんで泳がせてるんや?」
光一さんがかなり棘のある言い方で広海と轟に向ける。
「証拠がない?被害者が何も話せないから、手が出せないってのが現状」
「脅せれてるって事やな?身内に流すとでも言われたら、話されへんわな」
僕は、じゃどうするの?と思い、広海を見ると、すごく辛そうな表情をしてる。
「撮られた写真や映像が何処に流れてるか、光一さんの方で探れないか?」
周は広海達ではそっち方面を関わらせたくないみたいだ。確かなんかヤバそうな話ししてたもんな。
「それは、任せろ。俺らがなんとかしたる。愁、親父さんと話しできへんか?大元を叩かなあかんようになるやろ。そうなったら俺らじゃ手におえん。学園内はお前らでなんとかできるやろ。外の奴らは俺ら大人が切り離したる」
にやりと笑ってるがかなり怒っているのが手に取るように伝わってくる。
裏稼業の人達が絡んでいると確信した台詞に愁は頷き、周に視線を向けると、周も大人しく頷いている。
僕は、ちょっとホッとした。だって、広海達に何かあったらと思うだけで、震えがきそうだ。警察が動いてくれるなら、多少は安心できる。
それでも広海は難しい表情で、
「戸川を囮に使おうとしてるわけじゃないんだが、現場を押さえるしかない。轟、お前には辛いと思うが頼んでいいか?」
広海は、早く終わらせたい、戸川にも怯える日々を早く終わらせよう、と強い視線を向ける。隣にいる轟は俯き目を瞑っているが、とても苦しそう。きっと、戸川の事をとても大事にしているんだと思う。
大きく息を吐いた轟が、まっすぐ前を見て僕たちに視線を向ける。
「これ以上長引かせたくない。よろしくお願いします。俺は……」
必死で我慢していたんだろう、声を詰まらせ言葉が出てこない。広海が肩を抱き寄せると、肩に顔を埋め泣いている。どんなに辛かったんだろう、きっと何をできない自分が情けなく腹立たしかったんだろうなと。

「二手に分かれて作戦を進めるとして、連絡係は俺と愁でいいだろう?」
周が光一さんと勝美さんに同意を求める。
二人が頷くのを見て、其々がテーブルの上の全部の資料に目を通し、必要なものをそれそれがコピーを持つ。
「愁、僕も秋乃に着いてもいい?この間の事もあるから僕が友達として側にいれる時はそうしたい」
駄目だろうか?時間的にはそんなに長い時間は会えないかもしれないけど。
「絶対に無理しないと約束できるか?」
「うん、無理しないし、なんかの時は手加減するし、轟さんより僕の方が強そうだもんね」
僕がにっこりと顔を向けると、真っ赤な顔で『事実だけど、嬉しくない』という顔をしている。
光一さんがくすくすと笑いだすと伝染するように皆の顔に一時の安らかな笑いが溢れた。思いっきり笑ったら躊躇いを捨て戦場に向かう戦士のように。
皆が集まってから数日が過ぎた。咲良は自分だけ中間外れにしたと嘆き、広海に「俺も仲間だよな」と凄みのある顔で詰め寄っていた。
咲良が轟が僕の家にいる時点で、すごく機嫌が悪く、愁の許可が下りてると聞き、益々不貞腐れ睨みつけてる。
「咲良、いい加減にしろ。轟は当事者に近い立場なんだから仕方ないだろ?」
広海が仕方ないという表現をしたから、今度は轟が「仕方ないってなんだよ!」と文句が出る始末。
「なんで、二人は火花を散らしているの?」
僕は、早く作戦を練りたいのに一向に話が進まない。
溜息が漏れる部屋に兄二人が帰ってきて、その睨み合う二人に愁が轟を、周が咲良の頭に拳骨を落とした。
「くだらない感情で時間を無駄にするな!何のためにここにいるのか考えろ!轟、その後戸川に接触してきたのはいるか?」
二人とも頭を押さえ顔を顰め、それでも愁の言っていることが正しい。
「すみません。授業以外の時は側にいますが、誰も接触してないと思います。秋乃には何も話していませんが、話した方がいいですか?」