カクテルの紡ぐ恋歌(うた)Ⅴ
専門分野の知識を披露する征は、少年のように藍色の目をきらきらとさせる。美紗は、頷いて彼の言葉に賛同の意を示すと、再び青みの強いブルーラグーンを見つめた。
美しく透き通るその色は、青と紺の間の色合いが一面に広がるあの場所を、思い出させた。この店からほど近いところにある、美しいイルミネーションで彩られた光の庭。今も訪れる二人連れを華やかに照らしているであろう、その青い空間は、些細なことに揺れ動く心を静め清めるような森厳さに満ちていた。そして、精一杯の切ない決意を惑わすには十分すぎるほど、幻想的だった。
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作品名:カクテルの紡ぐ恋歌(うた)Ⅴ 作家名:弦巻 耀