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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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夢遊オートパイロット

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いや、完全な夢遊状態で動いていた。

まるで夢の中をさまようみたいに……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

目を覚ますと、殺風景なベッドの上に寝ていた。

「ああ、お目覚めですね。
 いかがでしたか? 夢遊オートパイロットは?」

「今のは……夢……?」

「ええ、まだ薬は入れてませんからね。
 今体験してもらったように、この薬には強い副作用があります。
 自分が寝ているときも、勝手に動くようになる副作用がね」

白衣の男はつらつらと話しながら錠剤を出していく。
今までのがすべて夢だと知り、心から安心した。

これほど心に響く薬の説明はないだろう。

「なので、夢遊ゾンビになりたくなかったら
 今見た夢のように使いすぎないでくださいね。
 自分がどこまで自分でいられるのか、わからなくなりますから」

「はい、本当に……ほんっとうに身に沁みました。
 この薬は便利ですけど、用量をきちっと守ります」

「それはよかった。今後ともごひいきに」

男はぺこりと頭を下げて俺を見送った。
俺はその言葉にくすりと笑った。

「今後ともって、今日来たのが初めてじゃないですか」

男は首をかしげて答える。


「ええ? ずっと前からご利用してたじゃないですか。
 常連さんなのに、今さらなに言っているんです?」