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目黒さんの心霊的事件簿ファイル

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幸いにも校門は閉まっていたが小さな校門の方は鍵が閉じられておらず警備システムも作動しておらず手間をかけずに学校へ入れた。
校庭は校門入ってすぐにあるが、入り口は校舎近くにあり校門から校舎までは遅刻の原因とも言われている道を走らねばいかなかった。
これでも、体育の成績に自信のある僕は遅刻の原因とも言われている道を徒歩1分ほど掛かる所を頑張って30秒以内に短縮。
…まずます、かなと思いきや疲れている間にも時間は過ぎるので早々と校庭に踏み入る。

何かが、変だ。

そう校庭に踏み入った時には、時既に遅し、というの言葉が頭の中で通り過ぎては自分の手が可笑しなことになっていた。
まるで、人形が人間ではとれないポーズをとっているように左の掌が、僕の顔に向いた。
信じられない光景に僕は悲鳴をあげることもできず。否、あげることはできなかった。
口を鼻をあらゆる酸素を汲み取る場所が塞がれて、声を出す所か体内が圧迫されて脳が爆発を起こしそうだ。
体は重く、膝をついて立っているのがギリギリで呼吸が段々苦しくなってきた時。

ヒュッと真横にボールが飛んできてはふと体が楽になってきたのがわかった。

ボールが飛んできた方向を見れば、いつもの制服姿の目黒さんだった。
しかし髪型は何故かポニーテールで左手にはグローブをはめていて、綺麗な黒髪のひとつひとつが揺れた。
此方に視線を合わせると目黒さんは片足をあげ、大きく踏み込んでこちらにボールを投げてきた。
スコーン!といい音が鳴ったかと思えば、自分の額に目黒さんの投げたボールが激突した音だった。

僕はそのまま、意識を失った。
真っ暗な闇の中で見えたのは寂れた木造校舎の中を彷徨っている男性の姿だった。
頬を叩かれる音と痛みで僕は目を覚まして起き上がった。
左手首は折れていない様子だったが、青痣が恐ろしいほどくっきりと残っており動かすだけで痛い。

「差し詰め、突き指ならぬ突き手首と言った所かな」
「目黒、さん…何、してたんですか…」
「夜は、君みたいなのは襲われるから気をつけろと言った筈だよ目白くん」
「セーターを取りに戻ってきたんですよ、明日の朝も今日の夜も冷えるって言うんで」
「何だ、君の家にはセーターは一着しかないのか?夕暮れは危ないと言うのに出歩くなど」
「だからっ!目黒さん貴女は何をしているんです、か!」

「…君には、関係無いよ」

酷く、冷たい目で突き放された。
目黒さんは僕の顔を見ずにボロボロな体で去って行った。

僕のセーターは、服をたたむことに慣れていないような感じに不器用にたたまれて体の上にあった。